ガソリン車の代わりに電気自動車(EV)を購入すると、経済に貢献するのだろうか。より一般的な質問は、「EVは環境に優しいか」だ。答えは、二酸化炭素(CO2)排出量の点ではイエスだ。動力源の発電方法や電池材料の産地によってその度合いは大きく異なるものの、これが長年、米国をはじめ多くの国がEVを後押しする動機だった。だが、環境に貢献する一方で経済にリスクをもたらすとしたら、その製品は成長するにつれ支持を失うだろう。この流れはすでに始まっているとみられ、複数の西側諸国がEV推進政策を縮小している。背景にあるのは、こうした政策がインフレや失業、政府債務残高といった問題を悪化させるとの懸念だ。財政保守主義の旗手であるドイツは、裁判所が政府の財源手当ての方法を違憲と判断したため、昨年12月にEV補助金を打ち切った。バイデン米政権は今年3月、ガソリン車の段階的販売終了を求める燃費規制案を緩和した。欧州連合(EU)は中国製EVに対する関税引き上げを検討しており、導入すればこれまで後押ししてきたEV普及が鈍化することになる。