「円安は日本の輸出を増やすから望ましい」
という意見は正しいか?
34年ぶりの歴史的な円安が続いている。政府・日本銀行はようやく円買いの「覆面介入」を2回、実施したが、今後もあらゆる手段を動員して円安を阻止するのか、それとも現状でよしとするかは、極めて重大な決定だ。
正しい判断のためには、なぜ円安が望ましくないのかをはっきりさせる必要がある。
円安は日本経済にとって望ましいという意見がある。というより、政治の世界では、イデオロギーの違いによらず、円安が望ましいとされ、円安を追求する政策がとられてきた。
こうした政策を正当化するために円安のメリットとして挙げられるのは、日本の輸出量が増えることだ。
その考えによれば、円安になった時に円建ての輸出価格を変えなければ、ドル建ての価格が下がる。したがって海外での販売量が増える。つまり輸出量が増える。これによって日本国内での生産活動が増えるから望ましいというのだ。
本当にこのようなメカニズムが働くのだろうか?
円安が加速した2023年のドルベースの対世界輸出額は前年同期比▲4.3%の減少だ。「円安メリット」生まれておらず、消費者にはむしろ負担増になっている。