選挙になるとよく耳にする「マニフェスト」。それって「公約」とは違うものなの?? 中学受験・社会科の大人気講師・馬屋原吉博先生のわかりやすい解説でおさらいしよう。*本記事は、馬屋原先生の著書『今さら聞けない!政治のキホンが2時間で全部頭に入る』からの抜粋です。(初出:2023年11月12日)

【中学受験「社会」】「マニフェスト」と「公約」はどう違うか説明できる?【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

2000年頃から「公約」に代わって広まった「マニフェスト」

 選挙の際、政党や候補者が「自分を当選させてくれたら、こんな政策を実現しますよ!」と有権者に対して表明する約束のことを「公約」と言います。
 この「公約」という言葉に、「どうせ守られないもの」というイメージがついて回るようになっていたこともあり、2000年前後から「マニフェスト」という言葉を見聞きすることが多くなりました。
「マニフェスト」とは、政党が政権を手に入れた場合、予算を編成して実現すると約束した政策のことです。数値目標や財源、期限などにも言及し、事後の検証を可能にした約束、という意味で「公約」と区別して使われるようになりました。

 ただ、マニフェストという言葉にも「どうせ守られないもの」というイメージがついてきたのでしょうか、近年では、再び「公約」という言葉を目にすることも多くなりました。

■公約の一例:自由民主党「参院選公約2022」

 とはいえ、こういった流れの中で、多くの政党や候補者がホームページに公約を掲載するようになったのは、有権者としては歓迎すべきことです。過去の選挙の際の公約を、引き続き見られる状態にしてある政党も少なくありません。
 守られない公約が多いことを理由に、選挙に行ってもムダだと感じる人も少なくないようですが、投票しない人には政治を批判する資格もないというのが、民主主義社会における基本的な考え方です。
 自分で各党の公約を比較するのが大変であれば、マスコミ各社などが作る各党の公約の比較表に目を通すという手もあります。有権者には、少しでも納得のいく1票を投じ続けることで、自由や権利を守るための「不断の努力」を重ねていくことが求められています。