東大卒プロ算数講師の小杉拓也氏は、次のように言います。「2011年の教科書検定で『リットル』の表記の指定が変わったので、子どもに教えるときは注意が必要だ」
同氏が執筆した『小学生がたった1日で19×19までかんぺきに暗算できる本』は、学習参考書として「史上初」となる「2023年 日本で一番売れた本(年間総合1位)」を獲得(日販調べ)。そのシリーズ第3弾で、単位換算がスムーズにできる「3ステップ法」を紹介した、『小学生がたった1日でかんぺきに単位の計算ができる本』が待望の刊行。冒頭の発言について具体的にどういうことか、同氏にうかがいました。
「3ステップ法」のおさらい
さっそくですが、単位換算がスムーズにできる「3ステップ法」について説明します。
(例)「0.31km=□cm」の□にあてはまる数を求めましょう。
次の3ステップで求められます。
①「0.31km=□cm」に出てくる単位「kmとcm」の関係は、「1km=100000cm」です。
②「1km=100000cm」に出てくる数「1と100000」に注目します。1を「100000倍する」と100000になります(1km→1×100000=100000→100000cm)。
③「0.31km=□cm」の0.31を、同様に「100000倍する」と、31000となり、□にあてはまる数が31000と求められます(0.31km→0.31×100000=31000→31000cm)。
この「3ステップ法」を使えば、長さ(cm、mなど)、重さ(g、tなど)、面積(㎠、haなど)、体積と容積(㎤、Lなど)の単位をかんたんに換算できるようになります。苦手な単位換算を得意にしたい方は、新刊『小学生がたった1日でかんぺきに単位の計算ができる本』をご覧ください。小学生はもちろん、大人の脳トレとしてもおすすめです。
上記の例で出てくる「1km=100000cm」などの、単位どうしの関係のおさえ方のコツやポイントも同書で、丁寧に解説しています。
ℓとLのどっちで表記すればいい?
2011年の小学校の教科書検定で、容積の単位「リットル」の表記を、「ℓ(エルの筆記体)」から「L」に変えるよう、検定意見が付きました。それに伴い、2011年度の小学校の教科書で「L」が使われ始めるようになりました。
「ℓ」から「L」に変更指定があった理由は、ざっくり言うと、国際基準に合わせるためです。
現在、すべての小学校の教科書で「L」が使われているので、お子さんに伝えるときは、「L」を教えるようにしましょう。
なぜ、小文字の「l(エル)」ではなく、大文字の「L」なのか?
国際的には、「基本的に、単位は小文字で書かなくてはいけない」というルールがあります。例えば、小学校で習う「g」「m」など、どれも小文字ですね。では、リットルはなぜ、小文字の「l」ではなく、大文字の「L」を使うのでしょうか。
この理由は、小文字の「l」と数字の「1」を混同しやすいからで、国際的に大文字の「L」を使ってもよいことになったのです。
ちなみに、これ以外にも、人名に由来する単位は、大文字から始まるきまりになっています。N(ニュートン)、Pa(パスカル)、Wb(ウェーバ)などです。
「リットル」についてお話ししてきましたが、単位ひとつとっても興味深い経緯やきまりがあるのですね。さまざまな単位について、その由来や、表記を調べてみるのも楽しいかもしれません。
※本記事は、『小学生がたった1日でかんぺきに単位の計算ができる本』の著者が書き下ろしたものです。