4日投開票された英国の総選挙で野党労働党が地滑り的勝利を収めた。しかし与党保守党が否定されたこと以外に、この勝利が英国とその同盟国にとって何を意味するかは明確ではない。テレビ各社が委託した出口調査――英国では一般的に信頼できる――では、1997年にトニー・ブレア氏が「ニュー・レーバー(新しい労働党)」を掲げて躍進した時と同じような圧倒的勝利を労働党が収めるとの予測が示された。キア・スターマー党首が率いる中道左派の同党は史上最大規模の議席数を獲得する勢いで、下院650議席のうち410議席を獲得する可能性がある(2019年の選挙では203議席)。保守党は131議席の見込みだ(19年は365議席)。これは19年12月の総選挙で有権者から痛烈な叱責(しっせき)を受けた労働党にとって著しい挽回だ。この政治的蘇生はスターマー氏の功績である。同氏は党首としての最初の数年間を、前党首のジェレミー・コービン氏によって勢いづいた左翼的で反ユダヤ主義的な一派を追放することに費やした。今回の勝利は、労働党は再び愛国的で信頼できる政党になったことをスターマー氏が有権者に納得させたからこそ可能だった。