出世レースに「しがみついて苦しむ人」と「あっさり手放して楽になる人」のたった1つの違いとは?画像はイメージです Photo:PIXTA

周囲の評価に振り回され、自分らしさを失っていませんか? 精神科医の藤野智哉さんが「職場の悩み」に答える本企画。後編となるこの記事では、「他人の評価に依存しない生き方」について目からウロコの人間関係論をお届けします。(構成/三浦愛美)

「他人は変えられない」人間関係の基本

 誰かが自分のことを嫌っている。そんなとき、相手の「誤解を解きたい」「本当の自分を知ってほしい」と願うのが人間というもの。

 でも、こうした「他者に分かってもらいたい」という願望は、早々に手放した方がよさそうです。

「他人の思考や行動は、変えることができない」は、人間関係の基本です。

「話せばわかる」とか「本当の自分を知ってもらえば好きになってくれるはず」などと信じたい気持ちはわかりますが、「他人は変えられないし、変わらない」のです。

 それはごく近しい人間、例えば家族や友人でも同じです。妻や夫、我が子や親、あるいは親友や恋人でも、相手の心を思い通りにコントロールすることはできません。

 近くにいるからこそ、自分と同じ感覚でいるものと錯覚しがちですが、どれほど親しくても、他人は他人なのです。

「好き・嫌い」「評価する・しない」「感謝する・しない」は、100%、相手の心の領域で、他人が自由に操作することはできません。

「自分」と「他人」は違う領域である。この「自他境界」をはっきりさせるところから、今回の話を始めていきましょう。