SNS、チャット、メール……現代は、史上だれも経験したことのない「言葉の洪水」に襲われている。あなたも毎日、ペーパーワークに何時間奪われているだろうか? そこで、ビジネスパーソンに「簡潔化」の作法を指南する本が誕生、世界でベストセラーとなっている。全米25万部を超えた他、世界16か国以上で刊行の話題作『Simple「簡潔さ」は最強の戦略である』より、内容の一部を特別公開します。
多くの人がムダに言葉を書きすぎている
私たちはニュースメディア企業を経営している。つまり、言葉をつむぎ、CEOや政治家、管理職、好奇心旺盛な大のニュース好きなど、影響力が大きく、要求の厳しい読者にその言葉を消費してもらうことによって生き、呼吸し、収入を得ている。
そこで、世の中に蔓延する「膨大な言葉」に対して私たちが考え抜いた解決策は、人々が発し、消費する言葉を減らすよう促すこと──しかも大幅に。
私たちはこれを「スマート・シンプル」と名づけた。思考を研ぎすまし、より明快に伝達し、自分と相手の時間を節約するための仕組みであり、戦略である。これにより、ずっと少ない言葉ではるかに多くの内容を伝えられるようになる。それこそがスマート・シンプルの最大の力だ。
インターネットの普及により、情報の消費をめぐる行動は激変した。ところが、情報が氾濫する環境にあっても、私たちが文章を書き、情報を伝える方法はほとんど変わっていない。
スマート・シンプルはこの問題に真正面から立ち向かう。本書では、力強い言葉と短い文章、関心を集めるタイトル、シンプルな見た目、整理された論理展開によって、「読みとばされる文書」を記憶に残る「必読の文書」へと変える方法を明らかにする。(中略)
残酷な現実
時間をかけたその文章はまともに読まれていない
私たちはこう訴える。デジタル世界で重要な情報を際立たせたいなら、伝え方を根本的に見直し、メッセージの魅力を高めること。
▶ほとんどの人は、あなたが書いたものをななめ読みするか、大半を読みとばしている。だからこそ、一字一句を有意義なものにしなくてはならない。
▶より少ない時間でより多くの価値を共有する。
▶読み手を最優先に考える。人は忙しく、見返りを期待して貴重な時間を差し出している。基本的に人々が知りたいのは、新しい情報と、それがなぜ重要かということに尽きる。相手の欲するものを与えること。
▶読み手の心を動かすには、これまでのやり方やスタイルを変えること。それもいますぐに。
実行すれば、すぐに大きな効果を得られるだろう。
▶スマート・シンプルを導入すれば、仕事では効率と成果が高まり、伝達者としては説得力が増し、ソーシャルメディアではもっと有意義で、インパクトのある存在になれる。あなたの声と言葉はかつてないほど響きわたるだろう。
▶スマート・シンプルは、1日のなかで時間を浪費するさまざまな場面について再考する機会にもなり、思想やアイデア、最新情報などを伝えるときには、自分自身のエゴや悪癖ではなく、読み手を優先できるようになる。
▶最大の恩恵を受けるのは、あなたが語りかける相手だ。スマート・シンプルによって、CEOや管理職たちは膨大な時間を節約でき、企業は目標に向かって足並みをそろえ、創造性を発揮し、いちばん重要なことを明確にできる。これは職場だけでなく、学校にも、教会にも、大学の寮にも当てはまる。
いちばん大事なこと
あなたはすぐに、かつてないほど自信に満ちた声で、はっきりとメッセージを伝えられるようになるだろう。そして、誰もがあなたのいちばん伝えたいことに耳を傾け、それを心にとどめてくれるのを(うまくいけば賛同してくれるのを)目の当たりにするはずだ。
(本原稿は、『Simple 「簡潔さ」は最強の戦略である』からの抜粋です)