【寄稿】日鉄のUSスチール買収は米国にプラスPhoto:Jeff Swensen/gettyimages

 世界は危険な状況にある。中国とロシア、イランが結び付きを明確に強めていることは、米国とその同盟国の自由、繁栄、安全保障を恐らく冷戦期よりもはるかに脅かしている。米国の軍事力と経済力に支えられた、米国主導の世界的な抑止モデルは、前例のない困難に直面している。

 米国内の産業基盤を強化し、高インフレと景気停滞が何年も続いた後の経済を再活性化するためには、米製造業への投資が不可欠だ。(米当局が審査中の)日本製鉄によるUSスチール買収計画は、米国内の鉄鋼労働者とその家族、米製造業を最優先に考えており、こうした取り組みに向けた大きな1歩だ。

 2023年12月に発表された買収案は、米国の鉄鋼生産とより幅広い産業基盤の未来に恩恵をもたらすだろう。日本製鉄にはペンシルベニア州とウェストバージニア州で、全米鉄鋼労働組合(USW)に加盟する労働者を雇用してきた強固な実績がある。同社はそれをやめる兆候を見せていない。このことは、雇用のさらなる安定化をもたらすだろう。