パリオリンピックで議論を呼ぶ「疑惑の判定」が相次いでいる。なぜこのような事態が起こるのか。NBER(全米経済研究所)の調査で明かされた意外な真実とは――。(イトモス研究所所長 小倉健一)
パリオリンピックの
判定めぐり疑問の声が続出
パリオリンピックで、男子バスケットボール、そして、柔道(男女混合団体)決勝で、開催国フランスに有利な判定になっているのではないかと物議を醸している。
まず、柔道だ。男女混合団体戦の決勝で戦った日本とフランスは、3-3の同点となり、抽選で選ばれた階級の選手同士が戦う、ゴールデンスコア方式(ポイントが入った時点で勝利)による代表戦に突入。
会場のビジョンに表示されるデジタルルーレットの結果、フランスの絶対王者テディ・リネールが出場する90キロ超級の試合に決定した。“疑惑のルーレット”などとネット上で物議を醸したが、このルーレットで不正をしたというのはさすがにないだろう。
しかし、3-1で迎えた第5試合において、「(フランス人選手のガバ氏が)消極的にもかかわらず3つ目の指導が出なくて不思議」「指導出さない審判に不信感」「フランスのためのオリンピックになってしまった」などとXでは多くの疑問の声があがった。
「完全アウェー」の地で奮闘した日本柔道選手団を称賛したいところだが、やはり残念な気持ちも残った。
バスケットボールでも
「世紀の大誤審」と批判の声
バスケットボール男子の日本対フランス戦では、日本は90-94と敗北を喫した。フランスチームは、日本チームより「格上」の実力を持っていることで知られており、大善戦の上での惜敗であったが、最終盤の第4Qのファウル判定をめぐって、国内外から疑問の声が上がっている。
まずは、日本。Xでは「誤審が酷すぎる」「フランスびいきすぎる」などの声が多くあがったが、日本のメディアはなんとも後味の悪いこのゲームをこう報じていた。
読売新聞(7月31日)
〈押せ押せの流れの中で日本は逆転し、勝利は目前となった。/しかし、日本が84‐80の4点リードで迎えた残り10秒、フランスの3点シュート成功時に、ディフェンスにいった河村にまさかのファウル判定〉
〈勝利の立役者の1人になるはずだった河村にとって、ラスト10秒のファウルは何とも微妙な判定だった〉
産経新聞(7月31日)
〈SNSでは河村がファウルと判定された際の動画や写真が拡散され、河村のプレーが実際はファウルではないのではないかという指摘が相次ぎ、「世紀の大誤審」「触れてもないのに世紀の大誤審のファウルで男子バスケ、フランスに歴史的負け」「本当に悔しい。涙出てくる」「何百回見てもファウルじゃない」「Tough foul call(厳しいファウルコール)」などと国内外から批判が寄せられている〉
朝日新聞(7月31日)
〈防御の場面。河村は相手に接触しないよう真上に跳び、映像では相手に触れていないようにも見えた〉
〈だが、河村のひたむきさが、あの反則の局面ではあだとなった。わずかな差で天国と地獄が入れ替わる。勝負の非情さを思い知らされる黒星となった〉
国内メディアが、自国の敗北をかばう報道をするのは珍しいことではない。面白いのは海外の反応であろう。