101歳、現役の化粧品販売員として活躍している堀野智子(トモコ)さん。累計売上高は約1億3000万円で、「最高齢のビューティーアドバイザー」としてギネス世界記録に認定されたキャリア61年のトモコさんが、年をとるほど働くのが楽しくなる50の知恵を初公開した話題の書『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものをお送りする。佐藤優氏(作家・元外務省主任分析官)が「堀野氏の技法は、ヒュミント(人間による情報収集活動)にも応用できる」と絶賛(日刊ゲンダイ・週末オススメ本ミシュラン)する世界一の先輩による“人生訓”は、アナタの疲れた心を元気にしてくれる!

普通の主婦だった私が「トップセールス」になった営業術Photo: Adobe Stock

他の人に言われて
「なるほど」と思った営業術

後から他の人に言われて、「なるほど」と思ったことがあります。それは私のセールスの仕方が、お客様に抵抗感を感じさせないものだったということです。

私自身は意図してそうしたわけではないのですが、毎月顔を合わせることで親しみを感じてもらいやすくなったというのが大きかったと思います。

売る側と買う側という垣根を超えて、プライベートな友達と楽しく会ってお話をするという感覚を、少なくとも私の側は持っていたことは確かです。

自分でも驚きの営業成績

その会話の流れの中で、それまでお客様が使ったことのない化粧品を紹介する機会をつくりやすくなっていたように思います。

このセールスの仕方は、ポーラ化粧品のセールスレディになった1年後に「最優秀新人賞」という形で評価されました。

1年間の私の売上高は500万円。現在の貨幣価値からすると、金額はかなり多くなると思います。なぜなら、当時の乳液の値段は250円だったからです。

驚きの販売セット数

なぜか乳液だけ覚えていて、化粧水とクリームの値段は覚えていないのですが、1人のお客様がこれらの3点を買ってくれたとして、売り上げは800円くらいだったと思います。

これをベースにすると、私は3点セットを1年間に何セット売ったことになるでしょうか? 

500万円÷800円=6250セット

1年365日、毎日稼働したとして1日あたり17セットを売ったことになります。

普通の主婦だった私が
営業成績トップ

東京のように人の数が多いわけでもない福島で、普通の主婦だった私が営業成績トップを取ったのですから、周りの人たちも驚いていました。誰よりも、私自身がいちばん驚きました。

私の認識としては、お客様を1か月に1回ずつ訪ねては、楽しくお話ししながらお代を受け取り、ついでがあれば必要なものを買ってもらうということを繰り返してきただけなのです。

やっぱり表彰されると
励みになる

トップセールスレディになろうなんて思ったこともなければ、こんなふうに新人賞のようなものがあり、表彰される仕組みがあることも知りませんでした。

そのあたりの期待が何もなかっただけに、本当にうれしかったです。「こんなにいいことがあるんだったら、セールスの仕事をずっとしていきたい」と素直に思えました。

表彰式は、都内のホテルで行われました。てっきり私以外にも表彰される人がいるものと思い込み、同じ立場の人と会えると楽しみにしていたら、私だけで拍子抜けでした。

今でも鮮やかに
胸によみがえってくること

でも、あの日の晴れがましさは、今でもよく覚えています。表彰式のためにロングドレスとハイヒールを買ったときの高揚感は、今でも鮮やかに胸によみがえってきます。

ところで、そのロングドレスが納戸にしまってあったので、何十年か前に久しぶりに出して、体にあててみました。

すると当時はぴったりだった着丈が、何十センチも余るようになっているではありませんか。年を重ねて背が縮んでしまったんだなと、そのときばかりは自分の年齢を突きつけられた気がしました(笑)。

※本稿は、『101歳、現役の化粧品販売員 トモコさんの一生楽しく働く教え』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。