コーナーが始まる前のCM中、沢尻さんに「はじめまして。でしたっけ?」と聞きました。

 というのも、実際には彼女が新人の頃、『THE夜もヒッパレ』で何度も共演しています。でもあえて“はじめまして感”を出せば、「中山さん、覚えてないんですか?ひどーい!」「いや、エリカちゃん、もちろん覚えてるよ~」なんてやり取りで場が和むのではと思ったのですが……。

 沢尻さんは「そうですね」とだけ言い目も合わせない。ファーストコンタクトは大失敗。異様な雰囲気の中、コーナーが始まりました。

 沢尻さんには事前に「放送で答えられる質問」を選んでもらっていました。

 最初の質問は「噂の『沢尻会』って本当にあるんですか?」。沢尻さんの「ないです」の回答は予定通りでしたが、あまりにピリついた雰囲気に、スタジオ中が緊張感に包まれて……。

間抜けな光景なのに
スタジオは凍りっぱなし

 次の質問は「弱点は何ですか?」。これ、事前に聞いていた答えは「蟻」でした。ところが、沢尻さんは「ないです」とバッサリ!

 この時、フロアディレクターは「沢尻さん、答えを忘れちゃった」と焦ったようで、カンペに大きく「アリ」と書いて必死にアピールしました。「ナシ」と言っている本人の前に「アリ」の文字が躍る光景はかなり間抜けでしたが、笑える空気ではありません。

 この後は「お笑い好き」だという沢尻さんの前にタカアンドトシが登場し「僕らのどっちが好きですか?」と聞く展開。心の中で「すまん」と謝りながら呼び込んだ2人は、沢尻さんの「どっちも無理」という一言に沈み……。ここで一旦CMに。

 MCとしてはこの間に、なんとか打開策を見つけなければいけません。

「何の得にもならないのに、沢尻さんは生放送でなぜこんな態度を?」。僕の仮説は「キャラを演じているのでは?」でした。映画の役に合わせて、あえてヒール(悪役)に徹している。「ならば存分に演じてもらおう」と思った瞬間、待てよ、彼女の役って確か……。

 CM明け、モニターに流れた映画の予告編映像を見ると、沢尻さんは、小学校の教員を目指す可憐な女子大生を演じています。「全然ヒールじゃねぇし!じゃあ、このキャラは何?」。混乱したまま、コーナーは終了。惨敗でした。まさに世紀の凡戦。