さまざまな性格の人が教室という一つの空間で過ごす学校。社交性が求められる学校生活を、内向的な人はどのように乗り切ればいいのだろうか。「一つの作戦としては、自分が心地いいと思える居場所をつくることです」。そう語るのは、世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』の著者、ジル・チャン氏だ。今回は、静かな人が学校生活をより楽しむための戦略について、チャン氏に尋ねてみた。(構成/ダイヤモンド社・森遥香)
静かな生徒の3つの戦略
──内向的な人として学校生活をどのように乗り越えてきましたか? 内向的な性格で学校生活に悩んでいる生徒や親ができることを知りたいです。
ジル・チャン氏(以下、チャン氏) 10代は他人に認めてもらいたいという欲求があるなか、自分が外向的な人間でないということがわかった時点で、学生時代は厳しい状況にさらされますよね。私自身も内向的であるがゆえに苦労しました。
そこで、学校が苦手な子や内気な子、内向型の子を持つ親御さんのために、学校生活を乗り切るために私が実践していたことを3つご紹介したいと思います。
心地いい居場所をつくる
チャン氏 一つ目は、自分が心地いいと思える居場所をつくることです。これは物理的な場所にも、精神的な場所にも当てはまります。前者で言うと、たとえば私は本を読むと一人の世界に浸れるので、学校の図書館が安全にゆっくりできる空間でした。
後者の精神的な場所で言うと、私自身、友人は多くありませんでしたが、親しい友人といつも一緒にいて、自分が一人にならずに友だちと過ごせる空間をつくっていました。こうした自分が快適に感じる居場所をつくり、それをシェルターとして利用することが内向型の人の戦略の一つです。
潜在的なルールを知る
チャン氏 二つ目は、学校に存在する見えないルールを知ることです。学校で何が重んじられているのか、たとえば成績がいいことで認められるのか、スポーツが得意なことで認められるのか、見下されないための評価の仕組みを知ることが重要です。
何が大事かがわかると、自分の時間と努力とリソースをその分野に投資をします。その評価軸で自分が力をつけて人に認めてもらうのです。
実際に私が高校時代にこれを実践してわかったことがあります。成績が重んじられる学校だったのですが、成績のいい人は変わり者でも見下されるようなことはなかったのです。
努力していい成績を取れば、ほかの子にノートを見せてあげたりしてつながりをつくることもできます。
なるべく人を助ける
チャン氏 三つ目は、なるべく人の助けになるようなことをすることです。自分から「何かお手伝いできることはありますか?」と尋ねてまわる必要はありません。誰かから何かを頼まれたときに「いいよ」と気持ちよく助けてあげるんです。自分のできる範囲でまわりを積極的にサポートすることで、人間関係がうまくいきます。
心地のいい居場所をつくること、潜在的な学校のルールを知ること、人助けをすること。この3つが、私が学校生活を乗り越えるために活用した戦略です。ぜひ参考にしてください。
※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。