「静かで控えめ」は賢者の戦略──。そう説くのは、台湾出身、超内向型でありながら超外向型社会アメリカで成功を収めたジル・チャンだ。同氏による世界的ベストセラー『「静かな人」の戦略書──騒がしすぎるこの世界で内向型が静かな力を発揮する法』は、聞く力、気配り、謙虚、冷静、観察眼など、内向的な人が持つ特有の能力の秘密を解き明かしている。騒がしい世の中で静かな人がその潜在能力を最大限に発揮する方法とは? 同書の著者に秘訣を教えてもらった。(構成/ダイヤモンド社・菱沼美咲)
Q. 自分のことが好きになれません
──自分のことを好きになれません。「自分に優しくする」ことが難しく、「他人を優先すること」のほうが大事だと感じます。「自分に優しくする」ために実践しやすいことはありますか?
自分で自分に「一言」かける
ジル・チャン氏(以下、チャン氏) 質問を聞いて、とても心が痛みます。
私自身も、「自分のことが嫌い」だというプロセスを経験してきたので、気持ちがとてもよくわかります。私もよく他人のことを優先して、自分のことを後回しにしてきました。
そんな私が自分にもっと優しくなるために、とてもうまくいった方法があるのでお教えしたいと思います。
それは、自分で自分に「大丈夫?」と気遣いの一言をかけることです。
それも、自分のことを客観視して考えるために、自分が自分の親友になったつもりで話しかけるんです。
「もし親友だったら自分にどんな行動を勧めるだろう」と考えながら話すわけです。
たとえば、社交的な場で人と話すのにとても疲れてしまったとします。「もう、そろそろ帰りたいな」と思っているあなたに対して、親友だったらどう声をかけると思いますか?
親友の視点から自分を「客観視」する
チャン氏 「もう疲れたよね?」と声をかけて、家に連れて帰ろうとするでしょうか。それとも、そこにいさせようとするでしょうか。
おそらく、家に連れて帰ってあげようとするはずです。「他人のことは放っといて、もう帰ろうよ」と声をかけてあげると思います。
これは他人のことを優先してしまうタイプであればあるほど、効果的です。
自分のことであれば、休んだり妥協したりするのは嫌かもしれませんが、だれよりも大事な親友が相手であれば、思いやりをもっていたわってあげることができるはずです。
強いメンタルで、自分を優先できる
この方法に慣れれば、どんなときでも、これまでより強いメンタルで、自分を思いやった判断ができるはずです。
イベントから帰ろうとするときだけでなく、ある仕事や役割を引き受けたほうがいいかを考えるときや、人間関係で悩んだときなど、さまざまな意思決定の場面でこの方法は有効です。
想像上のもうひとりの自分が、親友として自分に話しかける。ユニークな方法ですが、私はこれがとってもうまくいきました。あなたにもこの方法がうまくいくといいなと思っています。
※本記事は、『「静かな人」の戦略書』の著者に話をうかがったものです。