正解:買い

売買高増加を伴う株価急騰は「買いシグナル」

 F社株は、売買高が大幅に増加して、高値を更新しています。テクニカル分析で、さらなる上昇が見込めます。副作用の不安が消えたので、

 ファンダメンタルズ分析でも、成長株として再評価して良いと思います。

 ただし、ここでF社株を素直に買い戻せる人はあまりいません。2600円で売ってしまっているからです。

「2600円で売ってしまって残念」という気持ちがあるので、2900円で買うことができないのです。

 過去の売り値や買い値にとらわれず、現在の投資判断に素直に従って売買できるようになれば上級者です。

 私はファンドマネジャー時代、このクイズのような局面に何度も出会いました。こういうケースでは、迷うことなく、売値を大きく上回る株価で買い戻しました。

副作用について十分な情報がないので「様子見」でもOK

「問題となる副作用はないという報道だけでは情報として不十分」と考えて、様子見を選んだ方も間違いとは言えません。

 治療効果の高い新薬には、常に副作用の不安が伴うからです。一般的に薬効が高い薬ほど、副作用が大きくなります。

 近年は、薬効が高くても、副作用が懸念される新薬は承認されない傾向が強まっています。

 F社の新薬は、定められた治験を経て、厚生労働省に承認されているわけですから、その時点で「問題となる副作用はない」と判断されています。

 ただし医療現場では、承認されたばかりの画期的新薬をすぐ使うことに慎重です。新薬を実際に使ってみた医療機関からの評判を聞きながら、少しずつ使用が拡大していきます。

 その過程で、副作用や薬効について、さまざまな報告が出てきます。新薬をリリースした会社の株は、そういう情報に反応して乱高下します。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)