「銘柄選びのトレンドが変わった」と語るのが、元手65万円から総資産160億円を築いた有名個人投資家の片山晃氏だ。実際、足元では暴落前まで買われていた「外需大型株」の勢いに陰りが見えるが、次に脚光を浴びる銘柄群は何か。特集『二番底か高値奪還か 最強株で勝つ!』の#5では、片山氏が注目する業界、さらには具体的な企業名まで告白したロングインタビューをお届けする。(聞き手/ダイヤモンド編集部 篭島裕亮)
株式市場は「かなり難しい」状況
選ぶべき銘柄も変化している
――7月下旬から8月5日にかけての暴落をどう分析されていますか。また、今後の日本株をどうみていますか。
今回の日本株の暴落は、値幅としては歴史的なイベントだったと思います。要因についてはさまざまな分析がされていますが、個人投資家にとって大事なのは今後どうなるかです。
ただ、正直に言うと「かなり難しい」状況になっていると思います。米国で利下げが始まる公算が高まり、その結果として株が下がるということが起きました。
この理由は明確で、利下げをしないといけないということは、これから企業の業績が悪くなるわけです。当然、EPS(1株当たり純利益)も下がっていくわけですよね。
金利が下がればPER(株価収益率)が拡大するので、「株式にはプラス」という話も一部にあります。ですが、今からEPSが低下していくというときに、より高い評価をつけることはあり得ないでしょう。
当然、日本株も米国の影響を強く受けます。実際、前回の景気サイクルを見ても、米国の金利が下がり始めてからは、途中で本格的な反発もなく、その後に株式が崩落するということが起きました。
今回も「結局そうなるのではないか」と長期的にはみています。急落が来る前から自分の中では考えていて、相場に強気ではありませんでした。
一方、だからといって株を持たないのも違うと思います。日経平均株価の場合、3万1000円を底と考えると20%以上反発しています。米国も戻っていますし、今のところ、何も起きていないわけです。
――強気一辺倒ではないけれども、株を持たないリスクもあるということですか。
そうですね。後述しますが、投資チャンスはあります。ただ、目先と先行きの予想がズレてくるのが、景気の最終局面の特徴です。だから、すごく難しい。選ぶべき銘柄も変化しています。そのズレをどうポジションに反映するかが重要になります。
“銘柄選びのトレンドが変わる”と予測する片山氏。次ページではその根拠に加えて、片山氏が注目する業界、さらには具体的な企業名まで激白する。