米顧客情報管理(CRM)サービス大手セールスフォースはこれまで、多くを期待されなかったことがあまりない。人工知能(AI)がクラウドソフトウエア業界に不透明感をもたらしていることを踏まえると、期待されないというのは歓迎すべきことかもしれない。サービス型ソフトウエア(SaaS)の草分けであるセールスフォースは、年次イベント「ドリームフォース」を今週開催する。同社はそこで大いに説得力を示す必要がある。好調な販売と買収で数年続いた大幅増収はここにきて失速しており、2025年1月期の売上高成長率は同社初の1ケタにとどまる見通しだ。これが株価に影を落とし、足元で年初の水準を2%ほど下回っている。ただしこれはセールスフォースに限ったことではない。アドビ、ワークデイ、アトラシアン、スノーフレイクは、株価が振るわないSaaS関連企業の一角に過ぎない。BVPナスダック・エマージング・クラウド指数は今年に入って10%余り低下した。セールスフォースをはじめ多くの企業が成長鈍化に苦しんでいる。企業が生成AIへの投資を大幅に増やしていることで、他の技術分野の予算が圧迫され、大型案件が成約しにくくなることを投資家は懸念している。
セールスフォース、AIは毒か薬か
SaaSの草分けであるセールスフォースはAIサービスで成長の再加速を狙う
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