同じような商品・サービスを扱っているにもかかわらず、楽しそうにラクラクと稼ぐ人がいる一方で、思うように稼げず苦悶にあえぐ人もいる。
その違いは、年齢や経験、持って生まれた才能によって生まれているとは限らない。
稼げない人も、稼げる人と同じように努力はしているだろう。しかし、結果には大きな違いが出る。
その原因は、ほんの一語の違いにあったのだ。
その一語の違いをまとめたのが、この道25年「日本のトップマーケッター」神田昌典氏による、一番やさしい、すぐ使えるコピーライティングバイブル『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』だ。
本書では、たった一語の差で、貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」が公開されている。
今回は本書より一部を抜粋・編集しながら、たった一語で天国と地獄に分断される「怖さ」と、一語変えるだけで大きく現実が変わる「面白さ」を見ていこう。
【貧す人】と【稼ぐ人】の決定的な一語の違い
今回紹介するのは、「想定外の顧客の法則」である。
【貧す人】想定外は無視しよう
【稼ぐ人】想定外を重視しよう
自分が想定していなかったお客様が突然、現れた……!
そんなとき、【貧す人】は、想定外の出来事を無視するが、【稼ぐ人】は、想定外の顧客に目を光らせる。
なぜなら、その人物は、新しいマーケットという幸福をもたらすキーパーソンであることが多いからだ。
100万人を動員した映画のきっかけ
『折り梅』(松井久子監督・2001年)という映画をご存じだろうか。
アルツハイマー型認知症の母親をめぐる、家族の葛藤のストーリーだ。
この映画、地味なテーマのせいもあり、実は映画関係者を集めた試写会では、観客の反応はあまりよくなかったという。
ところが、その試写会に、一般の主婦が混じっていた。
自身もアルツハイマーの身内を抱え、介護で悩んでいたという。
映画が終わり、映画関係者が帰ろうと席を立ったとき、この主婦は涙を流しながら、訴えた。
「こんなすばらしい映画は観たことがない」と。
この主婦の反応がきっかけとなり、『折り梅』は全国配給が決定。
その後、口コミで観客を集め続け、100万人を動員するに至った。
顧客の中の「想定外の一人」が、ムーブメントをつくるきっかけとなる……。
これはビジネスではよくあることだ。
異質なもの、普段ここにいない人に注目する【稼ぐ人】
私が「マインドマップ」(記憶と情報整理のためのノート術)の日本での普及に携わったときもそうだった。
当初、駐日英国大使館と組んで、マインドマップ開発者のトニー・ブザン氏(1942~2019)の来日レセプションを企画した。
招待者は、教育に熱心な上場企業経営者100人だったが、ダイレクトメールの案内に反応してきた人の中には、育児中の派遣社員がいた。
ダイレクトメールを捨てようと思って目を通していたら感動し、これはぜひ社長に渡さなければならないと奔走。
さらに「自分も参加させてくれ」と言ってきたのだ。
日本の子どもたちにマインドマップを使ってもらいたいという私の想いは、間違っていないと直感した。
事実、その後、マインドマップは小学校から大学まで、多くの先生たちにサポートされつつ、中国でも大人気になるなど、大きなムーブメントとなった。
「異質なものは、ないか?」「普段ここにいない人は、いないか?」
想定外のものや顧客が現れたときこそ、【稼ぐ人】は、そこに目を向けるのだ。
(本稿は『【スーパーパワーアップ版】稼ぐ言葉の法則 ── 貧す人が稼ぐ人に変わる「売れる法則85」』の一部を抜粋・編集したものです)