境界知能の存在を正しく理解し
適切なサポートをしよう
「ルフィ」と名乗る首謀者を中心とした犯罪グループが、闇バイトで集めた人々を使って全国各地で強盗を繰り返した事件は記憶に新しい。
ルフィらは2022年から2023年1月にかけて少なくとも5都府県で8つの強盗を指示していたとされる(注)。当初の犯行の手口は、住人を拘束して金品を強奪するようなものだった。しかしそれがだんだん過激になり、しまいには殺人にまで及んでしまった。
この連続強盗事件の実行犯が境界知能かどうかまでは明らかになっていない。しかし判断能力の低い人でなければ、一生を棒に振ってしまうような強盗団の手先など務まらないだろう。
ネットを介した闇バイトの勧誘は今後さらに巧妙になっていくはずだ。このままだと凶悪犯罪に境界知能の人々が巻き込まれかねない。
境界知能の存在は、NHKでも特集されるなど徐々に世間に知られつつある。しかし具体的な支援制度はまったく確立されていない。私たちはもっと彼らに目を向けるべきだ。
境界知能の存在を正しく理解し、適切なサポートをする。それはこの社会をより良くするための不可欠な営みだ。
(注)朝日新聞「犯罪集団が海外に拠点、闇バイトで人集め『ルフィ』事件の課題とは」(2024年1月12日)