「自力整体」とは、整体プロの技法を自分におこなう人気メソッドです。現在1万5000人が実践中。「久しぶりにぐっすり眠れた!」「10年間苦しんできた慢性痛から解放された!」「健康的にダイエットできた!」と絶賛の声が続々。「3分以内でできる悩み解決ワーク」を集めた著書『すぐできる自力整体』も好評。著者の矢上真理恵さんは、「不調のほとんどは自力整体で解消できる」と語ります。今回は女性に一生役立つ自力整体をお届けします。
監修:矢上 裕 矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
(写真/榊智朗 構成/依田則子)

【整体プロが指南】女性ならではの「不調が出る人」「出ない人」の決定的な違い。いますぐ「ほぐしてほしい場所」とは?

不調が出やすい体型とは?

月経前症候群(PMS)・生理痛・妊娠・出産・産後・更年期・老年期の不調……。
女性ならではの不調や悩みをもつ方は、体型が似ていることに気づかされます。

猫背、そり腰、ぽっこりお腹、お尻がぺたんこ、下半身太り、O脚かX脚。

これらの特徴は、骨盤のゆがみのサイン。とくに「仙腸関節」(図参照)が硬い傾向です。
座りっぱなしや猫背などの悪い姿勢、スマホの見すぎなどがおもな原因です。

「仙腸関節」が硬いと婦人科系の不調が出やすい?

骨盤には、「仙骨」と「腸骨」があります。その2つを結ぶ「仙腸関節」は、女性の場合、約28日間のサイクルで、開いたり、閉じたりを繰り返しています。

正常な仙腸関節は、排卵日から生理に向かって開き、生理が終わると次の排卵日に向かって閉じていく。骨盤がゆがんでいると、この仙腸関節の開閉が鈍く、それによりPMSや生理痛、更年期の不調が出やすいのです。

たとえば出産を控えている方の場合、とくに仙腸関節が硬く骨盤が左右非対称にゆがんでいると、分娩に時間がかかることが多いのです。

ある生徒さんは、仙腸関節がゆがんだ状態でむかえた第一子出産に36時間かかりました。
しかし2年後、自力整体で骨盤を矯正した結果、第二子は2時間かからないスピード出産に。

出産に限らず、女性は日ごろから自力整体で仙腸関節をほぐしたり、その前を通る大腰筋をほぐして、関節の動きをスムーズにしておくことが大切です(※ワークは後半紹介)。

頭痛・睡眠障害・腰痛・坐骨神経痛もひきおこす

ある生徒さんは、更年期になり頭痛・睡眠障害がひどくなりました。さらに出産後10年ちかくたつのに毎日腰痛に苦しみ、痛くて夜もぐっすり眠れなかったのです。

そこで毎晩20分ほど自力整体で仙腸関節をほぐしていただくと、ゆがんだ骨盤は正常に。結果、頭痛・腰痛解消。朝まで熟睡できるようになったのです。
仙腸関節が硬いと坐骨神経痛なども出やすいため、柔らかくほぐしておくことは大切です

更年期ならではの症状も出やすい

更年期特有の症状に関しては、長い間、多くの生徒さんと接していると、不調が出る方もいれば、出ない方もいることに気づかされます。

自力整体では、更年期不調といわれる発汗・のぼせ・めまい・不眠・イライラなど症状は、自律神経の乱れ、ホルモンの減少、そして骨盤のゆがみも原因の一つだと考えています。

そんな更年期の悩みを抱える生徒さんに、自力整体のワークで仙腸関節を調整すると「症状が出なくなった」という声を多数いただきます。

このように日ごろから仙腸関節を整えておくことは、女性のライフステージに現れやすい悩み予防に役立ちます。週に2,3回のペースでほぐしておくとよいでしょう。

次ページで、女性に一生役立つ「仙腸関節を調整する」ワークを紹介しましょう。

【整体プロが指南】女性ならではの「不調が出る人」「出ない人」の決定的な違い。いますぐ「ほぐしてほしい場所」とは?矢上 真理恵(やがみ・まりえ)写真左
矢上予防医学研究所ディレクター
1984年、兵庫県生まれ。高校卒業後単身渡米、芸術大学プラット・インスティテュートで衣装デザインを学び、ニューヨークにて独立。成功を夢見みて、徹夜は当たり前、寝るのはソファの上といった多忙な生活を続けた結果、心身のバランスをくずし動けなくなる。そのとき、父・矢上裕が考案し約1万5000名が実践している「自力整体」を本格的に学び、心身の健康を取り戻し、その魅力を再発見。その後、自力整体ナビゲーターとして、カナダ、ヨーロッパ各地、イスラエルにて、クラスとワークショップを開催。さらに英国の名門セントラル・セント・マーチンズ大学院で「身体」をより体系的に学び、2019年に帰国。現在、国内外の人たちに自力整体を伝えながら、女性のための予防医学をライフワークにしている。著書に、『すごい自力整体』(ダイヤモンド社)がある。

監修者:矢上 裕(やがみ・ゆう)写真右
矢上予防医学研究所所長、自力整体考案者、鍼灸師・整体治療家
1953年、鹿児島県生まれ。関西学院大学在学中の2年生のとき、予防医学の重要性に目覚め、東洋医学を学ぶため大学を中退。鍼灸師・整体治療家として活躍するかたわら、効果の高い施術を自分でできるように研究・改良を重ね「自力整体」を完成。兵庫県西宮市で教室を開講、書籍の出版やメディア出演などで注目され、全国から不調を抱える人々が続々と訪れるようになる。現在約500名の指導者のもと、約1万5000名が学んでいる。著書に『自力整体の真髄』『はじめての自力整体』(ともに新星出版社)など多数。遠隔地の人のために、オンライン授業と通信教育もおこなう。 写真/榊智朗