私は過去、青森山田時代に高校サッカー選手権で3度の優勝を果たし、「名将」という過分な称号をもらいました。その結果を実現できたのは、その年のチーム発足時から優勝を目標に掲げ、徹底的にそのための準備をしてきたからです。

 ベスト8を狙っていたら、それ以上の結果に到達する可能性は低い。もちろん、優勝を狙っていても実現しない場合がほとんどだと思います。ただ、金メダルを狙うから、金メダリストになれる。優勝を狙うから、優勝チームになれる。2位でいいという考えでは、そこにすら届かない可能性が十分あります。

 優勝を目指すためには、そのための「日常」を構築する必要があります。まさにそこが重要なポイントなのです。チームが優勝を目指す理由はそこにあります。

 かつて東日本大震災が発生した2011年に、サッカー女子日本代表“なでしこジャパン”はFIFA女子ワールドカップで初優勝を果たし、どれだけ多くの人々に勇気や感動を与えたかわかりません。

 大会後に佐々木則夫監督(当時)は「ワールドカップではベスト4を目指していたらベスト4以上にはなれない。優勝を目指したチームのみが、優勝できる」と話されていたのを覚えています。まさにその通りなのです。