頭のいい人がやっている「贈与ノウハウ」最大1500万円が非課税に!
人生100年時代、お金を増やすより、守る意識のほうが大切です。相続税は、1人につき1回しか発生しない税金ですが、その額は極めて大きく、無視できません。家族間のトラブルも年々増えており、相続争いの8割近くが遺産5000万円以下の「普通の家庭」で起きています。
本連載は、相続にまつわる法律や税金の基礎知識から、相続争いの裁判例や税務調査の勘所を学ぶものです。著者は、相続専門税理士の橘慶太氏。相続の相談実績は5000人を超えている。大増税改革と言われている「相続贈与一体化」に完全対応の『ぶっちゃけ相続【増補改訂版】 相続専門YouTuber税理士がお金のソン・トクをとことん教えます!』を出版する。遺言書、相続税、贈与税、不動産、税務調査、各種手続という観点から、相続のリアルをあますところなく伝えている。2024年から贈与税の新ルールが適用されるが、その際の注意点を聞いた。

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頭のいい人がやっている「贈与ノウハウ」とは?

 贈与税にはさまざまな特例があります。本日はその1つの「教育資金の一括贈与」を解説します。

 2013年に登場して以来、多くの方に利用されてきた制度です。この制度は、子や孫に対して、教育費として使うための贈与であれば、最大1500万円まで贈与税を非課税にできるという特例です。適用期限が延長され、2026年3月31日まで新規申し込み可能となりました。

 教育費の贈与はもとから非課税とされています。そうすると、この特例は何のためにあるのでしょうか。教育費の贈与を非課税にするには、大事な条件がありました。それは、必要な都度贈与することです。

 例えば、「子どもが小学校に入学するに際して、入学金を負担してあげる」ということなら、必要な都度の贈与にあたるので非課税です。一方で、子どもがまだ小学生であるにもかかわらず、将来の大学への入学金を贈与したとします。これは、必要な都度の贈与ではないので非課税にはなりません。

「孫の将来のために、一括でまとめて贈与したい!」という方のために、この教育資金の一括贈与の特例があります。この特例は、将来必要になるであろう教育費を見込んで、一括で贈与したとしても非課税にできる点が特別なのです。

 ただ、この特例を使うためには、銀行や証券会社にそれ専用の口座(教育資金口座)を開設し、贈与された金銭を預け入れ、教育費として使ったことを証明するための領収書を毎年、口座を開設した金融機関に提出しなければいけません。口座開設は簡単な手続ですみますが、実際に使っていくにあたり、領収書の保管や提出が必要になるので、少し手間がかかりますね。

メリットは即効性!

 この特例の一番のメリットは即効性があることです。孫へ1500万円の教育資金贈与をした次の日に亡くなった場合でも、この1500万円がその方の相続税の計算に足し戻されることはあません。教育資金贈与で渡した金銭は、その方の遺産と完全に切り離されます。近い将来、相続が発生してしまいそうな方であっても、条件を満たす子や孫がいれば積極的にこの特例を使うことで、相続税の負担を大幅に減らすことができます。

 2019年の税制改正により、一括贈与をしてから3年以内に相続が発生した場合には、教育費として使い切れていない残額が、相続税の対象になりました。ただし、相続開始時に23歳未満である場合等には、この取り扱いは免除されているので、小さいお孫さんにこの特例を使う分には改正の影響はありません。(※2023年度の税制改正により相続発生時に5億円を超える遺産がある場合には、23歳未満である場合でも、使い切れていない残額が相続税の対象にされるようになりました)

 しかしデメリットもあります。