悩む高齢女性写真はイメージです Photo:PIXTA

自分や配偶者が死んでしまった後、自分の望んでいたとおりに財産が相続されるよう準備しているだろうか?不本意な結果とならないように、今から知っておくべき相続に関する知識とは。『子のいない人の終活準備』(扶桑社)の一部を抜粋・編集し、子がいない人の抱える、20年、30年先の不安を解消していく。

相続財産や相続人は
法律で決まっている

「相続」は相続開始のとき(亡くなったとき)に存在した人に属する「財産」の一切の権利義務を継承することです。この「財産」は亡くなった人が有していた財産すべてのことで、「物」以外の契約上の地位など(賃貸借契約の貸し主・借り主の地位など)も引き継がれます。

 注意したいのは、財産には「プラスの財産」だけでなく「マイナスの財産」もあるということです。

 下の図のように、プラスの財産となるのは不動産、動産、預貯金、有価証券など、マイナスの財産となるのは借金、滞納した税金などです。マイナスの財産がプラスの財産を上回ることもあるため、すべての財産を把握しておく必要があります。マイナスの財産のほうが大きい場合は、生前に返済や自己破産などで処理したいところですが、残っていれば相続放棄することもできます。

画像01_マイナスの財産・プラスの財産相続財産にはプラスの財産だけでなく、マイナスの財産も存在する。相続財産は、物だけでなく契約上の地位や権利も含まれるので注意が必要。 拡大画像表示
画像01_マイナスの財産・プラスの財産おもな3つの相続方法。プラスの財産よりマイナスの財産が多い場合、相続人は相続放棄や限定承認を選択することができます。 拡大画像表示

 相続人となるのは誰かを把握しておくことも重要です。相続人は相続財産や相続人は民法により定められています。配偶者がいる場合は、配偶者が必ず法定相続人となります。

 配偶者も子どももいない場合、親や祖父母などの直系尊属、被相続人の兄弟姉妹がいれば相続人になります。兄弟姉妹が亡くなっている場合には、その子(甥・姪)までが代襲相続できます。

 内縁関係などで被相続人と同一の生計にあった人や、被相続人にきわめて献身的に介護・看護を行った人などは「特別縁故者」に該当しますが、遺言書に指定がないと相続できません。