サイバーエージェント 藤田晋代表取締役(2016年撮影) Photo:Diamond
株式投資を始めると、どこの企業を選べばのか日々のチャートやニュースのチェックに忙しくなるだろう。しかし、英国の歴史ある投資会社がサイバーエージェントに投資しつづけてきたワケを知ると、別の視点で企業を見つめることも大事だとわかる。(イトモス研究所所長 小倉健一)
なぜ英国の歴史的な投資会社はサイバーエージェントに投資するのか
今、どの株を買えばもうかるのか?――。
株式投資の世界に足を踏み入れた誰もが、このシンプルで切実な疑問を胸に抱く。多くの人々は、答えを日々の株価チャートの波形や、目まぐるしく流れる経済ニュースの中に探し求めるだろう。
しかし、その答えが、全く異なる次元に存在するとしたら、どうだろうか。
スコットランドの古都エディンバラに本拠を構える、100年以上の歴史を持つ百戦錬磨の英国の投資会社・ベイリー・ギフォード(ベイリー社)。そして、東京・渋谷から新しい文化の渦を巻き起こす日本のIT企業・サイバーエージェント。
一見すれば何の接点もなさそうな2つの組織は、実は「長期株主」と「投資先企業」として、十数年にもわたる固い信頼関係で結ばれている。
なぜ、世界を舞台に戦う最強の投資会社が、星の数ほどある日本企業の中からサイバーエージェントを選び、長きにわたってその株を保有し続けるのか。
その理由を知れば、私たちが本当に買うべき「上がる株」の姿を、驚くほど鮮やかに映し出してくれるかもしれない。
現代の株式市場は、短期的な利益追求の圧力に満ちている。
例えば、ある会社が画期的な新薬を開発しようと考える。開発には5年、10年という歳月と莫大なお金が必要になるだろう。しかし、その投資は短期的には「コスト増」として決算の数字を悪化させる。すると株価は下がり、経営者は批判にさらされる。
だから、多くの経営者は未来の大きな果実よりも、目の前の小さな果実を拾うことを選んでしまう。結果として、多くの企業が未来の成長の種をまくことを怠り、緩やかにその輝きを失っていく。
このように、短期的な利益だけを追い求める市場の風潮は、投資家を疲弊させるだけでなく、企業そのものの生命力をも奪う深刻な病なのである。







