世界で最も注目される投資家が慎重姿勢を強めている場合、他の人々は心配すべきだろうか。
株式保有の好ましい期間は「永遠」だと冗談めかして語る米著名投資家ウォーレン・バフェット氏は、米国企業への多額の投資を継続している。ただ、投資に回さない資金が現在ほど膨らんだことはない。同氏率いる投資会社バークシャー・ハサウェイの現金および現金同等物は3250億ドル(約50兆円)で、主に米財務省短期証券(Tビル)の形で保有する。
この資金がどれだけ巨額であるかを理解するには、バークシャーが企業買収のために小切手を振り出すと想像してみるとよい。時価総額の上位25社程度を除く米国の上場企業全て――ウォルト・ディズニー、ゴールドマン・サックス、ファイザー、ゼネラル・エレクトリック(GE)、AT&Tといった有名企業を含む――を買っても、現金はまだ余る。バークシャーは配当と利息をバランスシート上に積み上げるだけでなく、ここ数カ月間で主要保有銘柄であるアップルとバンク・オブ・アメリカの株式の一部を売却した。さらに、バークシャーは直近の四半期は自社株買いを実施しなかった。これは6年ぶりのことだ。