前大阪市長にして、国政政党である日本維新の会を一から立ち上げた経歴を持つ松井一郎氏。自民・公明の獲得議席が過半数を割る結果となった10月の衆議員選挙でも争点となった「政治とカネ」の問題について聞いた。松井氏がビジネスパーソン時代の衝撃年収を投げ打って政治家になったのはなぜか。また、維新の会の幹事長として選挙の候補者と交わした「生々しいお金の話」を明かした。長年の政治経験から「政治家の稼ぐ力」の重要性を語った。(構成/田之上 信)
大阪府知事になって
年収が激減した
――前回、『自民党と派閥』の解説で、前木理一郎・元読売新聞政治部長が指摘している政治にはカネが必要であるという点について、松井さんは異論を唱えられました。松井さんご自身の政治資金についてはいかがですか。
僕は大阪市長や大阪府知事を務めている間、民間人だったときより生活レベルが落ちましたね。大阪以外では知られてないんだけど、例えば大阪府知事と大阪市長は、我われが大阪で政治を始める前は国内移動はJALやANAのファーストクラスがまかなえる旅費規定でした。
でも、当時はすでに財政危機だったから、当時、橋下さんが知事時代にその旅費規定を見直しました。
僕らは国内移動で飛行機はエコノミーを使っていました。僕は政治家になる前はビジネスマンとして国内移動するとき、東京の取引先に行くときとかね、自分を鼓舞して、がんばって働こうみたいな気持ちにするためにも、ファーストクラスに乗ってましたよ。
でも、知事、市長になってからはエコノミークラスです。税金だから。ただ、エコノミーはちょっと狭く感じるんで、あとは自分で1000円を追加してJALのクラスJのシートが定番でした。
橋下さんが知事、市長になったときは、年収が10分の1ぐらいに減っているはずですよ。タレント弁護士として稼いでいましたからね。年収の単位は億ぐらいあったんじゃないかな。