インドの複合企業アダニ・グループのゴータム・アダニ会長(62)ら幹部が贈賄疑惑で米国で起訴されたことを受け、10年にわたるモディ政権下で定着した経済モデルの負の側面が浮かび上がっている。このモデルは、政治家とのつながりを持つ少数の起業家が巨額の富を築くことを可能にしたが、その代償がインドに跳ね返っている。エコノミストや政策専門家によると、ナレンドラ・モディ首相は「ナショナル・チャンピオン(国を代表する大手企業)」を後押しし、少数のコングロマリット(複合企業)が経済の幅広い分野を牛耳ることを認めてきた。これらの企業は、インドの成長を促すために必要不可欠な大規模インフラプロジェクト(道路の建設から高速通信網の展開まで)の担い手になり得る。しかしエコノミストらは、経済力の集中が極端に進んだ結果、他の企業が締め出され、民間投資全般が圧迫されていると指摘する。