親が相続対策しないまま亡くなると、残された家族や子どもは、膨大な手続きに苦労したり、争族に巻き込まれたり、相続税が払えなかったり…と、多大な迷惑をこうむります。本連載では、知識のない親御さんでも、ステップ式で5日で一通りの相続対策ができる『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)を出版した税理士の板倉京さんが、最低限やっておくべき相続対策のポイントを本書から抜粋して紹介していきます。

【税理士が教える】税務署に狙われたら9割バレる!? 相続後の税務調査の内容とは?Photo: Adobe Stock

適当な贈与やタンス預金は「残された家族」が大迷惑!

前回、なぜ、適当な贈与やタンス預金が税務署にバレてしまうかをお話しました。相続税の調査結果については毎年国税庁が発表していますが、令和4年度は、調査件数8196件のうち、7036件で申告漏れ等が発見されています。税務署に狙われると実に9割弱の割合で申告漏れが見つかるのです。

では、税務署はどのように調査するのでしょうか?

調査は故人の過去の預金通帳のチェックから始まります。調査官は、銀行の取引記録を納税者の同意なく銀行に提出させることができます。 たとえば100万円を超える大きな金額が引き出されていたり、生活費にしては多い金額が定期的に引き出されていたりすると、「タンス預金・隠し財産があるのではないか」「誰かに贈与をしたのではないか」と疑い、徹底的に追及してきます。

税務調査では、家族の預金通帳もチェックされます。妻(夫)や子・孫の通帳にどこから入ってきたかわからない大きな入金があれば、贈与が疑われます。

預金残高が、その人の稼ぎに対して多額だった場合なども「贈与でもらったのではないか」「名義預金ではないか」と疑われます。

ペナルティや延滞税は残された家族にかかる

税務調査で、隠し財産や贈与税の申告漏れが見つかると、ペナルティが科せられます。ペナルティは、本来納付すべきだった税金との差額の10~40%。 悪質度合いが高い程、ペナルティは大きくなります。それ以外に、年利8・7%(令和6年現在)という高利貸し並みの利息(延滞税)もかかります。

ペナルティもさることながら、財産を隠して税務調査が来るなんて、残された家族の心労は計り知れません。「タンス預金や生前贈与なんてバレない」などと考えるよりも、漏れのない財産リストの作成、適切な節税、揉めないための準備をする方が、家族にとってはありがたいことなのです。

教 訓

子どもに迷惑をかけたくなければ、
漏れのない財産リスト作成、適切な生前贈与などの相続対策を!

*本記事は、板倉京著『子どもに絶対、迷惑をかけたくない人のための たった5日で相続対策』(ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集して作成しています。