職場には「売れない人」と「売れる人」がいる。
この差は、一体、何だろう? どうしたら前者は後者に変わるのか?
今、ビジネスパーソンから経営者まで数多くの相談を受けている“悩み「解消」のスペシャリスト”、北の達人コーポレーション社長・木下勝寿氏の自己啓発書『「悩まない人」の考え方 ── 1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』が話題となっている。
「ここ20年以上悩んでいない」という著者を直撃。本稿では1月の連休に役立つ「悩まない人の思考法」をお届けする(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)。
リクルートで研修を売ったときの話
私がリクルートにいた時代、海外で流行っていた営業ノウハウを「セールスマン研修」として日本の企業に売り出せないかという話が社内で持ち上がりました。
そのセールスマン研修とは、各社で売れているセールスマンを何百人もインタビューして、売れている人の商談の運び方からあらゆるノウハウを体系化したプログラムでした。
この研修で、各企業でレクチャーする講師は「営業経験がある人」ではなく、「そのカリキュラム内容を教えるのが上手な人」でした。
私自身もこの研修を受けてすぐ成果が出たので、「この研修すごいな」と思いながら、いざお客さんのところに売り込みに行ったわけです。
そうしたら、先方の担当者から「講師は誰ですか?」と聞かれたので、「うちの社員です」と言ったら、「その人はどれくらいのセールスをあげている人なんですか?」と言われたのです。
当時、セールス研修といえば、トップ営業マンが講師でその人なりの根性論を語るのが主流でした。
私自身、自ら研修を受けていたのでお客さんのところに行って自信を持ってプレゼンしたのですが、相手は営業実績のない講師をまったく信頼していませんでした。
「売れる人」と「売れない人」の決定的な違い
営業研修には「2種類」あります。
1つは、ダントツの営業実績がある人がつくったプログラム。
もう1つは、あらゆる業種のトップセールスマン数人にインタビューしてその共通点を見出してノウハウを体系化したプログラムです。
前者の場合、その講師特有のノウハウが学べますが、本当に万人に有効な再現性のあるノウハウなのか、不安なところがあります。
次に後者の場合、前者のような個人特有のノウハウは薄いかもしれませんが、あらゆる業種の人のノウハウが凝縮されているので、こちらのほうが役立つ可能性が高いでしょう。
にもかかわらず、当時の私はそこまで頭が回らず、このセールス研修を販売することができませんでした。
商品・サービスが「売れる人」と「売れない人」の決定的な違いは、あらゆる可能性を考えられる広い視野を持ちながら、万人に有効な再現性のあるノウハウを提供できる人かどうかにあるのです。
(本稿は『「悩まない人」の考え方──1日1つインストールする一生悩まない最強スキル30』の著者による書き下ろし記事です。)