与野党で意見が割れている「企業・団体献金の禁止」について、石原伸晃氏が“あるリスク”を指摘した。自民党で派閥の領袖を務めた人物が明かす政治とカネの実態とは。本稿は石原氏が近未来政治研究会の会長になった頃のエピソードから始まる。(構成/田之上 信)
企業・団体献金の禁止
蛇口を閉めれば地下に潜る
――政治とカネをめぐる問題が大きくなる中、渡辺恒雄氏の『自民党と派閥』をどのように読まれましたか。
僕は派閥の会長を務めていた経験から、いま政治不信がきわまっている中で、非常に興味深く読みました。
要は政治には必要経費があり、その必要経費は社会でうまく分担していくほうがいいということがわかる。ベストタイミングで復刊されたと思います。
実は昔、この本の元の『派閥と多党化時代』を読んでるんです。僕の後援会長が日本テレビ会長の氏家齊一郎さんで、渡辺恒雄さんと親しい間柄でしょ。氏家さんから読むようにすすめられて、昭和40年代前半の派閥について書かれた優れた本だからと、貸してくれました。
それから3カ月後くらいかな、氏家さんとの食事の席で、ヤマタク(山﨑拓)さんと引き合わされたんですよ。
――YKK(山崎拓、加藤紘一、小泉純一郎による盟友関係)の山崎さん。
そう。僕は元々YKKのシンパだから。一番近かったのは小泉さんと加藤さんで、僕は加藤派だった。だけど当時、加藤派が分裂して、僕は無派閥で1人で活動していた。
その食事の席で、タクさんが「君、うちの派閥に入ってくれ」って言うわけ。氏家さんも「君は無派閥なんだから、入ったらどうだい」と言われました。