目覚ましアラームにも気を遣うほど静かに暮らしているのに、身に覚えのない騒音クレームが度重なり、怖すぎる――。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
木造の賃貸アパートに住んでいる相談者は、管理会社を通じて「朝のアラームがうるさい」「話し声がうるさい」など複数回クレームを受けたことがあるそうです。また、玄関ドアに「夜中のあえぎ声がうるさい。騒ぐならラブホへいけ」という張り紙をされたことも。
夫婦二人暮らしでお互い騒がしいタイプではないとして、クレームをつけられるほどの騒音には心当たりがありません。張り紙については管理会社に対処を依頼しましたが、騒音トラブルから事件に発展したニュースなどを見聞きし、夜も眠れないほどの不安が続く日々を送っているようです。
引っ越しも検討しているという相談者ですが、もし退去するとなった場合は費用を嫌がらせ犯や管理会社に請求することは可能なのでしょうか。不動産問題に詳しい鮫川誠司弁護士に聞きました。
日常的な生活音「よほどの音量でない限り違法とはいえない」
――「朝のアラームがうるさい」「話し声がうるさい」などは騒音に該当するのでしょうか。
「騒音」とは、日本産業規格(JIS)の定義では、「望ましくない音、例えば、音声、音楽などの聴取を妨害したり、生活に障害、苦痛を与えたりする音」をいうものとされています。
共同住宅における近隣トラブルとして、音の問題は、分譲・賃貸を問わず、いつも上位にあげられるものの1つですが、市民生活一般の基本法である民法には、このような近隣紛争について「お互い様」という発想の下、隣り合った土地の利用関係を調整するための若干の規定が置かれているに過ぎません。
共同住宅をはじめとする建物のトラブルについては、特に見るべき条文は手当てされていませんし、そもそも、これだけライフスタイルが多様化している現代において、「お互い様」だけであらゆる紛争の解決基準を見出すことは難しくなっているといわざるをえないと思います。