今年1月から新NISAがスタートし、株式投資などで資産を増やそうとする機運が日本全体で高まっている。身のまわりで、投資に関する話を耳にする機会も増えただろう。ただし、投資には景気の動向など「不確定要素」がつきもので、運に左右される面があることは否定できない。いったいどうすれば、不運な目に遭わずに、投資で成功できるのだろうか?
そこで今回は、「読むと人生が変わる」「『金持ち父さん 貧乏父さん』以来の衝撃の書!」と絶賛されている、全米ベストセラー『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリさんの来日に合わせ、インタビューを行った。(取材/国際ジャーナリスト 大野和基、構成/ダイヤモンド社コンテンツビジネス部)

老後の生活を楽にする「不労所得」が簡単に手に入る“すごい方法”Photo:Adobe Stock

「とにかく買い続ける」だけでいい

老後の生活を楽にする「不労所得」が簡単に手に入る“すごい方法”ニック・マジューリ(Nick Maggiulli) Ritholtz Wealth Management社の最高執行責任者兼データサイエンティスト。同社の業務全体を監督し、ビジネスインテリジェンスの観点から有益な分析を行っている。ウォール・ストリート・ジャーナルやCNBC、ロサンゼルス・タイムズ等に記事を寄稿。緻密なデータに基づくパーソナルファイナンス関連の人気ブログ「OfDollarsAndData.com」を執筆している。スタンフォード大学卒(経済学学位)。ニューヨーク市在住。本書が初の著書。

――本書のタイトルにもなっている「ジャスト・キープ・バイイング」という投資哲学を、詳しく説明していただけますでしょうか?

ニック・マジューリ 本書のキーコンセプトである「ジャスト・キープ・バイイング」をより具体的な表現に言い換えると、「収益を生み出す様々な資産を継続的に購入すること」です。

 私が過去の金融市場のデータ分析を突き詰めた結果、「ジャスト・キープ・バイイング」を実践し続ければ、世界中のどんな市場でも富を築いていけるということに気づきました。

 なぜなら、ほとんどの市場は、ほとんどの期間、上昇しているからです。世界中の株式市場は、長期的にプラスの傾向を示しています。これは、混沌とした人類史の中でも、不変の真実です。

 ちなみに、あるタイミングで自分の資金を一気に株式投資につぎ込む人がよくいますが、それはあまり賢明ではありません。短期的には、大幅な下落が起きるので、その際に大きなダメージを受けることになるからです。

 一方で、長期間にわたって少しずつ、多様な資産を買い続ければ、短期的なボラティリティを克服することができます。つまり、時間をかけて資産を分散させながら積み上げていくことが、投資においては有利に作用するのです。

 一度に大量のお金を投資に充てるのではなく、働いて得たお金の一部を、無理のない範囲で貯蓄する。そして、投資に回す余裕が出てきたら、様々な資産を継続的に購入する。これだけで、経済的に豊かになることが約束されるのです。

「ジャスト・キープ・バイイング」は簡単に実践できる

 ジャスト・キープ・バイイングは今、歴史上のどの時点よりも簡単に実践できるようになっている

 なぜか? 以前、これを実践しようとすれば、多額の手数料や取引コストが必要だった。1990年代なら1回の取引ごとに8ドルもかかったので、ジャスト・キープ・バイイングを実践するには多額の取引コストがかかった。

 だが、状況は一変した。

 主要な投資プラットフォームの多くで取引コストが無料となり、端株(一株未満の株)の保有者が増え、低コストでの分散投資が可能になるなど、ジャスト・キープ・バイイングを実践する環境はかつてないほど整ってきた。

 たとえば、現在では、インデックスファンド(様々な株価指数の値動きに連動させることで運用成果を図る投資信託)の「S&P500」を一株から購入できる。「S&P500」の株を買うことは、実質的に、米国の大手上場企業500社の従業員を、あなたを豊かにするために働かせるのと同じことだ。

 つまりこうした投資資産を買えば、わずかな金額で、人類全体の将来的な経済成長の一端を所有できる

 世界規模の経済成長のおかげで、私たちは何十年にもわたって資産を増やし続けられる。これは私の個人的な意見ではない。地理的条件や投資資産の種類の違いを超え、100年以上にも及ぶ信頼性の高いデータに裏打ちされた事実なのだ。(P.16~17)

(本稿は、『JUST KEEP BUYING 自動的に富が増え続ける「お金」と「時間」の法則』の著者ニック・マジューリ氏へのインタビューをもとに構成しました)