「130万円の壁」解消で
パート社員の処遇改善
自社技術で多様な複合フィルムの開発・製造を実現している背景に、栗原氏が長年注力してきた社員の力を引き出すための人材マネジメントシステムがある。その一つが、今社会課題となっている「130万円の壁」補助制度だ。
「06年よりパート社員の処遇向上を目的に、年収130万円を超えて社会保険料の個人負担が生じたパート社員に保険料と同額を会社が支給する仕組みを作りました」。23年には制度適用者がいなくなり廃止したが、補塡を受けた当時のパート社員の多くがキャリアアップし、契約社員や正社員として活躍している。
その他、「昇格チャレンジ制度」や独自の給与体系、能力や経験差のあるメンバーが集まってチームをつくる「斜め割り」の組織体制などの制度の根底には、創業以来掲げる「価値創生企業」を目指す上で、「その源泉は社員の知恵と工夫にある」という栗原氏の強い信念がある。
20年より「第三の創業期」として「複合フィルムのフロンティアメーカー」を目標に、デジタル印刷などさらなる新事業に挑む同社。今後もユニークな高機能フィルム製品の誕生に期待したい。
(「しんきん経営情報」2025年1月号掲載)