――飲食に関する複数の事業を展開されているそうですね。
坪口 御殿場市を中心とした静岡県東部地域で、飲食店や仕出し宅配、肉の工場直売所などを12店舗構えています。飲食店は、とんかつ「かつ榮」、寿司やしゃぶしゃぶの和食店「ふくふく」、宴会処「つぼぐち本店」、うなぎ専門店「すみの坊」など、多様な業態を展開しています。農業生産法人の「つぼぐちファーム」も経営していて、農場で育てた米や野菜、果物などをお店で使っています。
――最初はどの事業からスタートを?
坪口 1955年に、私の母が生鮮食料品や総菜、お菓子などを販売する「坪口商店」を御殿場で創業したのが始まりです。そこから仕出業を始めたり、スーパーマーケットの鮮魚部門を担当させていただいたりと、徐々に事業を拡大していきました。
83年には「つぼぐち本店」を開店して飲食業にも進出。当時開発されたとんかつの自動フライヤーを導入し、2000年に「かつ榮」をオープンすると、この店が大繁盛し、開店から閉店まで常に入店待ちの状態が続きました。これで外食産業の面白さに気付き、05年以降多様な業態の飲食店をオープンしました。
もちろんここまで苦労はありましたが、右肩上がりで成長し続けています。
――成長の要因は?
坪口 それまで地元・御殿場になかった飲食の楽しみをご提供してきたからだと思います。全国の飲食店の仲間を視察しながら、「こんなお店が御殿場にあったら、地元のお客さまが喜ぶのではないか」とイメージして、近所にないタイプの店を出店してきました。
例えば「ふくふく」は、特別な日におしゃれをして食事を楽しんでいただけるよう、きらびやかな寿司カウンターや落ち着いた特別室など、ロードサイドにあるとは思えない空間をつくり上げました。
また、和食店ながらパティシエの工房があり、ケーキなどを店内で手作りしています。業界では和食店にケーキの匂いがするのはタブーとされているようですが、手作りデザートがお食事の締めに出てきたら喜ばれるのではないかと思ったのです。こうした演出が好評で、差別化の要因になりました。