8月のある日、子どもたちとミニゴルフを楽しむのにはうってつけの日和だった。太陽は輝いており、風車は回っていた。だが突然、絶望の淵に沈んだ。カメラ内蔵のサングラス「Ray-Ban Meta(レイバン・メタ)」を忘れてしまったのだ。やむなく写真を撮るためにスマートフォンを持ち上げた。それはビクトリア時代の写真家が、巨大な木製カメラボックスに向かって前かがみになっている姿を思わせた。今年はスマートグラスに魅了された年だった。一段と軽量化された「フェースコンピューター」によって、われわれが互いにどう関わり、周囲とどう関わるかということが次のステップへと踏み出す。これは仮想現実(VR)ではない。メタバースへの迂回(うかい)路でもない。あなたは現実世界を見ている。そこにデジタルの要素が加わっただけだ。そしてスマホに目をやる回数がはるかに減る。