瞬く間に知られる存在になり、すっかり人気となった「プロジェクションマッピング」。プロジェクションマッピングという言葉は聞きなれなくても、一度はご覧になったことがあるのではないだろうか。

 プロジェクションマッピングとは、立体物に対して、その立体物の形状に合わせた映像を投影することで、投影対象物が動いたり変形したりするように感じさせる、錯視的な視覚効果をもたらす映像表現技法のひとつ。

 東京駅舎や、さっぽろ雪まつりでの雪像へのプロジェクションマッピングが大きな話題を呼び、引き続き注目を集めている。そんな人を惹きつける技法をビジネスに活かそうという企業が最近増えている。

集客・宣伝効果が大きい斬新な表現

バイドゥが披露した「しめじェクションマッピング」

 IT企業バイドゥは、自社が運営するAndroid OS向け日本語入力アプリ「Simeji」の広告宣伝を目的とし、世界で初めて食用キノコのしめじ(ぶなしめじ)に映像を投影するプロジェクションマッピング「しめじェクションマッピング」を、GWに行われたニコニコ超会議2の会場で披露した。

 特設のスマートフォン向けウェブサイトから入力した「ひらがな」を実物の食用しめじに投影し、文字変換されるという、ユーザー体験型のインタラクティブなプロジェクションマッピングによって、アプリ「Simeji」の高い予測変換精度、入力効率性を表現したという。

 民放キー局のニュース番組で取り上げられたり、これを見たユーザーが「かっこいい。世界初!」「実はすごく難しいプロジェクトなのではないかという気がする。すごい!」とソーシャルメディアで話題にするなど、プロモーションとしては一定の成功を収めたと言えるだろう。

 企業によるプロジェクションマッピング活用の最たる例は「しめじェクションマッピング」のような広告宣伝だが、異なる用途も現れ始めている。

施設見学、マンションの空間演出にも

 東京都水道局は東京都水の科学館地下にある本物の水道施設「有明給水所」の見学ツアーをプロジェクションマッピングでリニューアル。給水ポンプに映像を投影することで、より直感的にポンプ内の水の流れが見える“劇場型”のツアーに生まれ変わった。

 リニューアルオープン当日は、抽選で選ばれた親子によるテープカットセレモニーや、一般来館者も参加できるリニューアル記念オープンツアーが催されるなど盛り上がりを見せ、東京都水の科学館の来館者は、3月15日に開館以来で200万人を突破した。

 また、大和ハウス工業が手がけた横浜市のマンションでは、建物の空間演出としてプロジェクションマッピングが採用されている。

 その映像は「Sensing -ZEN-」と名づけられ、コの字型になった廊下の両端どちらかの扉が開くとセンサーがそれを感知。廊下の中央に敷き詰められた玉砂利、ワイヤーで吊り下げた盆栽が、その背面にあるスクリーンに映し出され、立体感のある彫刻作品が現れる。

 さらに、マンションの入居者がその廊下を歩いていくと、映像とともに流れる音が徐々に変化。盆栽に近づくにつれて演出する音楽が完成していくという、人の動きに合わせた作品となっている。

 直近では、六本木ヒルズが開業10周年を迎えたのを記念して、ユーザーが自由にプロジェクションマッピングを投影できるサイト「TOKYO CITY SYMPHONY」を公開し、話題を集めている。

 ただ見るだけにはとどまらないプロジェクションマッピング、まだまだ使い途はありそうだ。

(岡徳之/Noriyuki Oka Tokyo & 5時から作家塾(R)