プレゼン資料は、「読ませるもの」ではありません。“込み入った話”を言葉だけで伝えようとすると、どうしてもまどろっこしい表現になり、非常にわかりにくい説明になりがちです。そんな時に必要なのは、伝えるべき内容の「本質」を、直観的に理解できるように「図解化」する技術。プレゼン資料は「見せるもの」なのです。そこで、累計40万部を突破した『社内プレゼンの資料作成術』シリーズの著者で、ソフトバンク在籍時には孫正義社長に直接プレゼンをして「一発OK」を次々と勝ち取った実績を持つ前田鎌利さんと堀口友恵さんに、プレゼン資料を「図解化」する技術を伝授していただきます(本連載は『プレゼン資料の図解化大全』から抜粋・編集してお届けします)。

“真面目すぎる人”のプレゼンが「わかりにくい」理由とは?写真はイメージです Photo: Adobe Stock

「サイクル型」は“時計回り”に並べる

 ビジネス・プレゼンでは、【図8-1】のような「サイクル型」の図解がよく使われます。

“真面目すぎる人”のプレゼンが「わかりにくい」理由とは?

 このような図解スライドをつくる際に、絶対に押さえておくべくポイントが2つあります。

 第1のポイントはボックスの並べ方です。

「フローチャート」の場合には、時系列に沿って「左から右」か「上から下」に流す必要がありますが、「サイクル型」の場合には、時系列に沿って「時計回り」に流すのを基本にします。

反時計回り」にすると、人の目の自然な動きに逆行してしまうので、理解しづらいスライドになってしまうことが多いので、ご注意ください(【図8-2】参照)。

“真面目すぎる人”のプレゼンが「わかりにくい」理由とは?

要素を細分化しすぎるとわかりにくくなる

 第2のポイントは、ボックスの数を3~5つ程度に絞ることです。

【図8-3】をご覧ください。これは、ある季節商品の「販売戦略のPDCA」を表現したものです。

“真面目すぎる人”のプレゼンが「わかりにくい」理由とは?

 季節商品であるがゆえに、販売シーズンが終わった春には小売店舗から返品されるため、秋ごろに再び小売店舗に出荷していく必要があります。そこで、前年度の売れ行きを精査したうえで、その商品が売れる小売店舗に絞って納品することで、効率的に売り伸ばしていくサイクルを毎年回していくことを提案しているわけです。

 ところが、このサイクルを細かく表現しようとすると、①のようなスライドになってしまい、非常に理解しづらいものになってしまいます。

 そこで、このような場合には、②のスライドのように、「Plan」「Do」「Check」「Act」という項目で大きく括ったうえで、細目を表示するなどの工夫をします。①と比較して、格段にわかりやすいスライドになったはずです。

 このように、「サイクル型」のスライドをつくるときには、ボックスの数を3~5つに絞り込むことを意識するようにしてください。

「伝える情報」を絞り込む

 これは、「サイクル型」のスライドに限った話ではありません。

 わかりにくいプレゼン資料を量産する人の特徴は、真面目に「あれもこれも」と情報を伝えすぎることです。

 わかりやすいプレゼンをするためには、なるべく「伝える情報」を絞り込むことが大切なのです。

(本稿は、『プレゼン資料の図解化大全』より一部を抜粋・編集したものです)

前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年生まれ。ソフトバンクモバイルなどで17年にわたり移動体通信事業に従事。ソフトバンクアカデミア第一期生に選考され、プレゼンテーションにおいて第一位を獲得する。孫正義社長に直接プレゼンして幾多の事業提案を承認されたほか、孫社長のプレゼン資料づくりも数多く担当。2013年12月にソフトバンクを退社、株式会社固を設立して、プレゼンテーションクリエイターとして独立。2000社を超える企業で、プレゼンテーション研修やコンサルティングを実施。ビジネス・プレゼンの第一人者として活躍中。著書に『【完全版】社内プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』『パワーポイント最速仕事術』(すべてダイヤモンド社)など。

堀口友恵(ほりぐち・ともえ)
埼玉県秩父市生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、ソフトバンクへ入社。技術企画、営業推進、新規事業展開などを担当する中で、プレゼンの経験と実績を積む。2017年に株式会社固へ転職し、スライドデザイナーとしての活動を始める。企業向け研修・ワークショップの担当や大学非常勤講師のほか、大手企業などのプレゼンのスライドデザインを担当し、のべ400件以上の資料作成やブラッシュアップを手がける。前田鎌利著の『プレゼン資料のデザイン図鑑』『パワーポイント最速仕事術』のコンテンツやスライドの制作にも深く関わった。ITエンジニア本大賞2020プレゼン大会にて、ビジネス書部門大賞・審査員特別賞を受賞。小学生向けのオンライン講座「こどもプレゼン教室」を運営し、子どもたちのプレゼンスキルアップの支援も行っている。