結果を出すビジネスマンは知っている!<br />優れたプレゼン資料をつくる<br />「マジックナンバー3」という法則Photo: Adobe Stock

 パワーポイントでプレゼン資料をつくるのに時間がとられる……。
 そんな悩みを抱えているビジネスパーソンが増えています。そこで、ソフトバンク在籍時に、最速で「一発OK」を勝ち取るプレゼン資料をつくるノウハウを磨き上げた前田鎌利さんにまとめていただいたのが、『パワーポイント最速仕事術』(ダイヤモンド社)です。

「パワーポイント最速仕事術」のポイントは2つ。
 まず、「優れたスライドの型」を把握することです。見た瞬間に内容が理解できるスライドには、「テキスト」「図形」「グラフ」「画像」「アニメーション」などの「型」があります。その「スライドの型」をゴールにすれば、いちいち「どのようなスライドにしようか?」と悩む必要がありません。

 次に、その「スライドの型」を最速でつくるパワーポイントの操作法をマスターすることです。パワポには多くの機能がありますが、「スライドの型」をつくるために必要な機能はごくごく限られています。その限られた機能をマスターするだけで、「一発OK」がとれる優れたプレゼン資料があっという間に出来上がるのです。

 そして、『パワーポイント最速仕事術』では、「スライドの型」と「その型をつくるためのパワーポイントの操作法」を、ビジュアル満載で紹介しています。本連載では、その一部を抜粋しながら、優れたプレゼン資料を「最速」でつくるノウハウを解説してまいります。

優れたプレゼン資料に使われている「マジックナンバー3」

「マジックナンバー3」という概念があります。

「三種の神器」「朝起きは三文の徳」「三人寄れば文殊の知恵」など、「3」という数字を使った言葉はやまのようにあります。「上中下」「松竹梅」「金銀銅」など、ランク付けをあらわす3文字から成る慣用句も多く、「NEC」「ANA」「IBM」など、アルファベット3文字の企業ロゴもたくさんあります。

 覚えやすいですし、語感もいいから、多くの人が口にしたくなるために、言葉が伝播しやすいのでしょう。このように、古今東西を問わず、「3」という数字には、人間に訴えかける不思議な力があるのです。プレゼン資料も、「マジックナンバー3」を意識することで、より効果的なものにすることができます。

 それは、下図の3つのスライドを見比べればすぐにわかるはずです。

 このスライドは、ある商品の「3つの特徴」を示すものですが、2、3のスライドと見比べれば、1のスライドが最も効果的だと実感していただけると思います。

結果を出すビジネスマンは知っている!<br />優れたプレゼン資料をつくる<br />「マジックナンバー3」という法則

 2の「5つの特徴」を示すスライドは、頭にスッと入ってこないどころか、「話を聞くのが面倒くさい」とすら思われかねません。一方、3の「2つの特徴」では、どうにも説得力に欠けます。「3つの特徴」を示すのが、ベストの選択なのです。

「グループ化」でスライド作成を最速化

 それでは、早速、「マジックナンバー3」のスライドをつくりましょう。

 ここでスライド作成を効率化するポイントは、1つずつ「図形+テキスト」をつくるのではなく、1つだけ「図形+テキスト」を作成して、それをコピペして、テキストを書き換えることです。そのほうが、はるかにスピーディにスライドを仕上げることができます。

 そして、ここで“使える”のが、「グループ化」の機能です。

「グループ化」とは、複数の図形やテキストボックスなどのオブジェクトを、1つのオブジェクトとして移動・加工できるようになる機能です。1つだけ作成した「図形+テキスト」をグループ化してからコピペすれば、コピペした「図形+テキスト」を1回のドラッグで移動させることができます。その手順は次のとおりです。

【手順1】1つだけ「図形+テキスト」を作成して、[Ctrl+左クリック]で図形とテキストボックスを選択する

結果を出すビジネスマンは知っている!<br />優れたプレゼン資料をつくる<br />「マジックナンバー3」という法則「図形」と「テキストボックス」を[Ctrl+左クリック]で1つずつ選択。

 

【手順2】「図形」と「テキストボックス」をグループ化する

結果を出すビジネスマンは知っている!<br />優れたプレゼン資料をつくる<br />「マジックナンバー3」という法則[1ホーム>2配置>3グループ化]を選択する。

 

【手順3】「グループ化」したオブジェクトを複製

結果を出すビジネスマンは知っている!<br />優れたプレゼン資料をつくる<br />「マジックナンバー3」という法則「グループ化」した「図形+テキスト」を[Ctrl+C]でコピーし、[Ctrl+V]で2つ複製。

 

【手順4】「テキストボックス」を書き換えて、綺麗に並べる

結果を出すビジネスマンは知っている!<br />優れたプレゼン資料をつくる<br />「マジックナンバー3」という法則1、2のテキストボックスを書き換えて、3つのオブジェクトをバランスよく並べる。

 この「グループ化」の機能は、プレゼン資料を効率的に作成するうえで、とても重宝しますので、ぜひ、マスターするようにしてください。

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結果を出すビジネスマンは知っている!<br />優れたプレゼン資料をつくる<br />「マジックナンバー3」という法則
前田鎌利(まえだ・かまり)
1973年福井県生まれ。東京学芸大学卒業後、光通信に就職。「飛び込み営業」の経験を積む。2000年にジェイフォンに転職して以降、ボーダフォン、ソフトバンクモバイル株式会社(現ソフトバンク株式会社)と17年にわたり移動体通信事業に従事。営業プレゼンはもちろん、代理店向け営業方針説明会、経営戦略部門において中長期計画の策定、渉外部門にて意見書の作成など幅広く担当する。
2010年にソフトバンクグループの後継者育成機関であるソフトバンクアカデミア第1期生に選考され、事業プレゼンで第1位を獲得。孫正義社長に直接プレゼンして数多くの事業提案を承認されたほか、孫社長が行うプレゼン資料の作成も多数担当した。ソフトバンク子会社の社外取締役や、ソフトバンク社内認定講師(プレゼンテーション)として活躍したのち、2013年12月にソフトバンクを退社。独立後、『社内プレゼンの資料作成術』『社外プレゼンの資料作成術』『プレゼン資料のデザイン図鑑』(ダイヤモンド社)を刊行して、ビジネス・プレゼンの定番書としてベストセラーとなる。
2016年株式会社固を設立。ソフトバンク、ヤフーをはじめとする通信各社、株式会社ベネッセコーポレーションなどの教育関係企業・団体のほか、鉄道事業者、総合商社、自動車メーカー、飲料メーカー、医療研究・開発・製造会社など、多方面にわたり年間200社を超える企業においてプレゼン研修・講演、資料作成、コンサルティングなどを行う。プレゼンテーション協会代表理事、サイバー大学客員講師なども務める。