昨年7月、ウクライナ東部ルガンスク市を占領するロシア当局は、クレーンとダンプカーを使い、「ホロドモール」の犠牲者を追悼する記念碑を撤去した。ホロドモールは1932~33年、当時のソ連が農業を集団化し、それに伴い不満の高まるウクライナ農村部を抑えるために国主導で人為的に引き起こしたとされる大飢饉(ききん)だ。ロシアが任命したヤナ・パシュチェンコ市長代理は、ルガンスクにあった御影石の大きな十字架は「住民の愛国心を傷つけた」との理由で撤去する必要があったと説明した。少なくとも390万人のウクライナ人がホロドモールで死亡したが、ロシア支配地域では何十基もの慰霊碑が破壊されている。ソ連政府に処刑されたウクライナの文化人の記念碑も多数破壊された。
【エッセー】ロシアが消したいウクライナの未来――そして過去
飢饉や大量処刑などソ連時代の忌まわしい記憶が、ウクライナ国民にロシア統治下に戻らないと決意させている
有料会員限定
あなたにおすすめ