先進安全システムの操作はシンプルでわかりやすい。ただし機能的にはほとんど使い物にならなかった先進安全システムの操作はシンプルでわかりやすい。ただし機能的にはほとんど使い物にならなかった Photo by K.I.
ヘッドランプは先行車、対向車を避けて照射するアクティブハイビーム型だったヘッドランプは先行車、対向車を避けて照射するアクティブハイビーム型だった Photo by K.I.

 安全装備の中で良いものもあった。アクティブハイビームである。タフトのアクティブハイビームは簡易型で、照射はハイ/ロービームの自動切り換えと大して変わりない。が、先行車、対向車を検知するアルゴリズムが、シンプルな切り替え式より高度だからか、対向車が過ぎた後のハイビームへの戻りが早く、ハイビームが欲しいのに延々ロービームで走るなんてことは少なかった。

 なお、衝突防止機能は全項目で最高ランクを獲得(20年のJNCAP衝突安全試験)しているので、悪いということはないだろう。

気になる燃費は?
タフトの燃料タンクは30Lもある!

 タフトのターボ・前輪駆動モデルのWLTCモード燃費は、2020年の初登場時は20.2km/lだった。その後22年にパワートレインの制御プログラムが変更され、21.3km/lに引き上げられた。モード燃費ベースでは5.4%の向上率だが、オンロード燃費では向上率が1割を超える結果となった。

 燃費が良くなった主因は、加速や高速走行時にエンジン回転数が上がりにくくなったこと。エンジンの瞬間出力は、エンジン回転数とエンジンへの空気供給量を調節するスロットルの開度によって決定される。改良型は同じパワーをより低い回転数、より大きなスロットル開度で発生させるようになったのだ。

 タフトのエンジンは「KF」という型式が与えられた658cc3気筒。KF型エンジンは低回転では非常に効率がいい半面、エンジン回転数が3000rpmないし3500rpmになると、急激に効率が落ちるというクセを持っている。苦手な中高回転領域をほとんど使わなくなった新プログラムは、経済性の向上という点では大変素晴らしく、誰でも簡単に好燃費を出せるようになった。

 もう一点、素晴らしかったのは航続性能だ。タフトの燃料タンクは、一般的な軽の標準よりも1割強多い、30リッターもある。好燃費との合わせ技で、軽ターボ車としてはかなり足が長い。東京・蒲田→兵庫・豊岡の約600kmを、燃料残量警告灯が未点灯のまま走破できた。今回の最長無給油区間は658.1kmだった。これだけの航続力があれば、ガソリンの高いエリアを飛び越えてドライブすることも思いのままだろう。

【試乗車の燃費実測】エンジンはパワーを高めるターボチャージャー付き。性能は最高出力47kW(64馬力)、最大トルク10.2kgm。WLTCモード燃費は総合21.3km/l、市街地19.6km/l、郊外22.7km/l、高速21.2km/l。
出発直後に満タン給油後、帰投までに燃料補給を8回行い、返却する直前の給油までの合計走行距離は3579.9km。それを8回の総給油量150.80リッターで割った実測平均燃費は23.7km/l。
ステージ別に見ると、流れがそれほど速くない地方部の自動車専用道路や郊外道を主体に走った区間はすべて24km/l以上。幹線高速がメインの区間は2度とも22km/l台。鹿児島滞在中は渋滞発生率全国ワースト1の市心部と郊外路・高速道路が半々の比率で474.4km走り、18.4km/l。
燃費は軽ターボ車としては望外に優れていた。平均燃費計は数値が辛めに出る傾向があり、実測値はもう少し良い燃費は軽ターボ車としては望外に優れていた。平均燃費計は数値が辛めに出る傾向があり、実測値はもう少し良い Photo by K.I.