さて、実はゼレンスキー氏はウクライナ東部出身のため、母語はロシア語だそうです。大人になってからウクライナ語の猛特訓を受け、英語も話すようになりました。
今回の会談では、通訳を介さずに自ら英語で話しました。形式的な会談であれば問題ないと思いますが、そもそもセンシティブな課題を扱う会談では、通訳を介して議論し、さらにその内容を文字で確認するケースもあります。外交交渉では当然の配慮だと思います。
さらに言えば、このような外交交渉が最初から最後まで公開されること自体、従来ならあり得ないことでした。その点も含めて、極めて異例な会談だったと言えるでしょう。
今回はまさに外交の常識を超えた会談になりました。ゼレンスキー氏の発言の背景には、ロシアやプーチン氏へのスタンスの違いや、ウクライナの状況を訴えて米国の支援を求める意図があったでしょう。しかし、トランプ陣営に対して挑発的な口調を用いると、かえって交渉を難航させることが今回の会談で明確になりました。
とりわけトランプ氏はプライドが高くメンツを重視する人物です。命令口調や皮肉を含む発言は、逆効果となるでしょう。今後、ウクライナが米国の支援を確実に得るには、感情的な発言は控えて、相手の立場を尊重しながら建設的な議論を進める必要があります。
トランプ氏と交渉する時は、柔軟かつ戦略的に話を展開することに加えて、英語の表現にも細心の注意を払うことが極めて重要だと感じました。
