「キーン」「ブーン」「ゴー」…耳鳴りがある人の9割がかかっている“病気”とは?【専門医が解説】小川 郁 オトクリニック東京院長

 一方で、『ブーン』『ゴー』など、モーター音のような重低音が聞こえる場合もある。めまいを伴うならメニエール病、耳が詰まったり、自分の声が響いて聞こえたりする場合は「耳管開放症」が疑われる。

 このほか、疲れや睡眠不足、ストレス、頭痛や神経痛などの体の不調、気圧の変化なども原因となる。

気づくのが難しく治療が遅れがち…
耳鳴りを放置するとどうなる?

 急な気圧の変化などによって一時的に起こる耳鳴りは誰にでも起こりうるもので心配はいらないが、そうでない場合、「会話に差しさわりはないから」などと放置すると、症状が固定化したり悪化したりするケースもある。

「耳鳴りがあるということは、聞こえが悪くなっているということです。例えば、耳鳴りが起こるとともに、急に聞こえが悪くなる病気に突発性難聴という病気があります。突発性難聴にも低い音が聞こえなくなるものと高い音が聞こえなくなるものがあるのですが、いずれも自覚を持ちにくく、治療が遅れがちです」

 つまり、耳鳴りを放置したから難聴になるのではなく、耳鳴りがあるということは難聴になっているサインの1つだと考えられる。

「急に耳鳴りが起こった場合、急性の難聴であれば早めに治療することで難聴も耳鳴りも改善します。しかし、難聴が治らなければ耳鳴りはずっと続きます。まずは耳鼻咽喉科を受診して、適切な治療を受けることが重要です」

 耳鳴りの症状が現れたら1週間以内には受診し、すぐに治療を開始できるようにしたい。

「そういう意味では耳鳴りは一種の救急疾患ともいえますが、痛みがあるわけではありませんし、片方の耳が聞こえていれば会話ができないわけでもないので、半年くらい放置してしまう方も多く見受けられます。しかし、2カ月も経ってしまうと、どのような治療をしても治すのが難しくなってきてしまいます」