【だから部下が辞めていく】忙しくて疲弊しているチームのリーダーが口にしている「最悪の言葉」・ワースト1

「忙しさで疲弊しているチームのリーダーが、よく口にする言葉があります」
そう語るのは、これまでに400以上の企業や自治体等で組織変革の支援をしてきた沢渡あまねさん。その活動のなかで、「人が辞めていく職場」に共通する時代遅れな文化や慣習があると気づきました。
それを指摘したのが、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』。社員、取引先、お客様をうんざりさせる「時代遅れな文化」を指摘し、現場から変えていく具体策を紹介。「まさにうちの会社のことだ!!」「すぐに実践してみます！」と、とくに現場リーダー層を中心に多数の反響があり話題に。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、「現場をつぶすリーダーの特徴」を紹介します。

始めたことを、やめられない組織

　やっていてつらいだけの仕事、もはや目的を見失い惰性で続けているだけの慣習が、どの組織にも1つや2つは存在するだろう。いわば「仕事ごっこ」と化した仕事や慣習。これらをやめられない組織がある。

　やめられない組織では次から次に仕事が増える。
　事業活動を営む以上、当然のごとく日々の仕事は増える。やめることを決めないと、水かさは増すばかり。

　そして容量オーバーになる。メンバーは疲弊する。仕事をやめられない組織が、人に「辞められる」組織になっていく。

　始めるのは得意だが、やめるのは苦手な組織は少なくない。
　組織の体質以前に、そもそもやめる発想すらない人たちもいる。
「皆やっているから」「今までそうしてきたから」「何かあったら怖い」など、やめられない理由を次から次に並べ立てる。

続けることが目的になる

　売り上げ、コスト削減、生産計画……我々は日々さまざまな目標や数字の達成に追われている。ビジネスパーソンたるもの組織の目標達成に全力を尽くす合理性はある。

　しかしVUCAと呼ばれる時代において、環境も最適解も激しく変わる。期初に立てた目標がそもそも意味をなさない、いつの間にか絵に描いた餅になることもある。

　しかしやめる判断ができない組織は、その変化に対応できない。そもそも対応する意識がない。「計画は絶対。やめる、変えるなんてもってのほか」と、やがて行きすぎた必達主義、モーレツ主義、それに従順すぎる組織風土に行き着いてしまう。

　このように上意下達が過ぎる文化は、現場でのハラスメントや不正を助長し、ブランド失墜を招くケースも少なくない。この本を書いている今、大手自動車会社の現場によるデータ改ざんなどの不正が明るみになり大騒動に発展している。

　目標必達かつモーレツな文化はモラルやガバナンス（企業統治）を崩壊させる。その根底にあるのが、目標ありきで何が何でもやりぬく社風、現場が正しく声を上げられない組織風土、経営陣や顧客からのプレッシャーに抗えず「No（ノー）」と言えない環境などである。組織としても社会としても不健全だ。

ダムは放水しないと決壊してしまう

　一方で「やめられる組織」は、自分たちの判断で仕事や慣習を手放す。あるいは理不尽に思った人が声を上げて、やめるための合意形成をする。

「この作業、意味がないからやめませんか？」

「わざわざ定例会をしなくても、業務進捗の確認だけならチャットで共有すればよいのでは？」

「朝9時からの朝礼、保育園の送り迎えがあるメンバーが慌ただしくなるのでやめませんか？」

　こうしてどんどん身軽になっていく。
　ダムは適度に放流しなければ、やがて水が溢れて決壊してしまう。そうならないよう仕事も放流が必要なのだ。

（本稿は、書籍『組織の体質を現場から変える100の方法』の内容を一部抜粋・編集して作成した記事です。書籍では他にも、「人が辞める組織」を変えるためにリーダーができることを多数紹介しています）