コロナ禍もひと段落し、在宅勤務よりも、オフィスで対面のコミュニケーションを増やしたほうが事業にとってプラスだ…と判断する企業や組織が増えているようです。ただ、在宅勤務に慣れた部下に対して出社を促す場合、伝え方を工夫しないと部下から一気に嫌われてしまう恐れがあるので要注意です。日本、中国とも100万部超、世界でシリーズ累計259万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一さんに、部下が出社を受け入れやすくなる「伝え方」を教えてもらいました。(構成/伊藤理子)

「嫌われる上司」が無意識に使っている言い方・ワースト1Photo: Adobe Stock

オフィスに出社して!

新年度に入り、経営陣から「在宅勤務の比率を減らして、出社日数を増やすよう、部下に働きかけてほしい」と言われている人もいることでしょう。

実際、オフィスで顔を合わせることでチームワークが高まったり、情報共有がしやすくなったりするなど、出社のメリットは多いと思います。ただ、すでに在宅勤務が当たり前となっている社員にとっては、いきなりの出社要請には抵抗感があるでしょう。「また満員電車に乗って通勤する生活に戻るのか…」「子どもの保育園の送り迎えがあるのに…」など、ネガティブな感情を持つ人が大半だと思われます。

とはいえ会社が決めたことなのだから…と「在宅勤務はやめて、みんなオフィスに出社して!」とストレートに伝えてしまうのは考えものです。会社が決めた方針を部下に伝えただけなのに、「そんな言い方をするなんて!」と上司に対してネガティブな印象を持ってしまう可能性があるからです。

言いにくい言葉を上手に伝えるコツとは?

このような場合は、例えば次のような伝え方が効果的です。

◎「みんな、もっと加藤さんと直接会って一緒に仕事がしたいって言ってたよ!まあ、一番そう思ってるのは私なんだけどね(笑)」

これは「チームワーク化」と「相手の好きなこと」という2つの伝え方の技術を使っています。
人は「一緒に〇〇しよう」と言われると嬉しくなり、相手の誘いに乗りやすくなります。そして、「みんなが一緒に仕事がしたいと言っている」「一番そう思っているのは私」というのは、加藤さんにとって好きなことです。「みんなだけでなく、上司が誰よりそう思ってくれているんだ」とうれしさを覚え、自らもっと出社日数を増やそうと思ってもらいやすくなります。

もちろん、在宅勤務に慣れていた人からすれば、オフィスへの出社に戻るのは心身ともにハードルが高いと思います。ただ、伝え方の技術を使って伝えることで、ぐっとハードルを下げることができ、前向きに「出社を増やそう」と思ってもらえる確率を上げられるでしょう。場合によっては、「こんな伝え方をしてくれるなんて、うちの上司なんかイイな」と好印象を持ってもらえるかもしれません。

伝えたいことは、どちらも同じ。しかし、伝え方によって「この上司、嫌い!」と反発されてしまうか、それとも「そろそろ出社してみんなと一緒に働こうかな」になるか、大きくわかれます。ぜひ伝え方の技術を活用して、言いにくいことをうまく伝え、部下と良好な関係性を築いてもらいたいですね。