コロナ禍がつづいた2021年。気持ちが沈むネガティブワードがあふれた一方で、今年は、アスリートが自己と深く向きあって生まれた名言や、大切な人の幸せを祝う言葉、誰かの悩みに寄りそって励ます言葉など、前向きで人を温めるような言葉も数多く生まれています。シリーズ累計148万部突破のベストセラー『伝え方が9割』の著者、佐々木圭一氏らが、この1年をふりかえり、ステキな伝え方をノミネート! このうち、佐々木氏が所長をつとめる研究機関「伝え方研究所」公式ツイッターなどの一般投票でえらばれたベスト10を発表します!(構成/杉直樹)
第10位「自分の将来は周りが決めるんじゃねぇ、世の中の流れに乗るもんでもねぇ。自分の人生は自分で作る。人生はどうなるかじゃなく、どうするかだ!」
ヒット作、2021年版「ドラゴン桜」(TBS系)の劇中のコトバが10位に入りました。
阿部寛さんが演じた元暴走族の弁護士・桜木建二は、おちこぼれの生徒たちと向き合う熱血先生。もの静かながら愛情にみちた姿勢で、東大合格をめざす生徒たちを指導します。
そんな桜木が、「大学入試共通テスト」にのぞむ生徒たちに語りかけた、このコトバがランクインしました。
「自分の将来は周りが決めるんじゃねぇ、世の中の流れに乗るもんでもねぇ。
自分の人生は自分で作る。人生はどうなるかじゃなく、どうするかだ!」
自分の進路や生き方は、自分で決めよう。親がきめるものではないし、「こういう生き方が望ましい」という社会の空気に合わせなくても、いい。
そんなメッセージを多くの人が「希望」と感じたのは、先行きが見とおしづらい時代のただなかにいることと無関係ではないでしょう。
受験生だけでなく、生き方に悩めるすべての人にとって道しるべとなる名ゼリフです。
第9位「農業って景色作れるんだなって」
東日本大震災から10年。被災した地域では、いまもたくさんのボランティアが活動をつづけています。
宮城県石巻市で、ビールの原料となるホップをそだてる加納実久さんも、そのひとり。彼女のこのコトバが9位に入りました。
「農業って景色作れるんだなって」
ホップが旬をむかえる夏は、一面が青々とした葉っぱで埋めつくされるそう。その景色は、10年前は想像すらできなかったかもしれません。
小さな歩みがつみかさなり、大きな未来をつくっていく。復興の光を感じさせる素敵なコトバです。
第8位「みなさんの、プラモデルを作ったり好きな色にするのが楽しいその気持ちと、作ったプラモデルをみんなにじまんする場所は、おじさんが必ず守ります」
子どもたちが腕をふるって作りあげたプラモデルを披露する「こどもプラモコンテスト21」。作品がツイッターなどで紹介されると、「どうせ親が作ったんだろ」などと、子どもの心を傷つけるような投稿が……。
そんななか、主催者が子どもたちに向けて出したメッセージが話題となりました。
「みなさんの、プラモデルを作ったり好きな色にするのが楽しいその気持ちと、作ったプラモデルをみんなにじまんする場所は、おじさんが必ず守ります」
こどもの心によりそうヒーローのように、熱く、あたたかい伝え方。胸にくるものがあります。このコトバひとつに救われた思いがした子どもや保護者たちは少なくなかったはずです。
心のゆとりを失いがちな今だからこそ、私たちも“おじさん”のように前向きなコトバを使いたいものですね。