米国人は長らくエネルギー安全保障と言えば石油のことだと考えてきた。米国は戦争や災害、政情変化による供給停止が引き起こすかもしれない大混乱に備えるため、可能な限り、多くの石油を確保しようとした。だが数年以内に、エネルギー安全保障は電力を意味するようになる。電力需要は何十年も停滞していたが、今や急速に伸びている。人工知能(AI)や他のデジタルサービスを運用するデータセンターが大量の電力を必要とし、将来的には輸送や建物での需要拡大が見込まれる。電力に依存する経済は、石油に依存する経済とは様相が異なる。まず発電や送配電に巨額の投資が必要だろう。また電力の供給および価格が、ガソリンの場合と同様の政治的重要性を持つため、規制当局や政治指導者にとっての課題となる。