モメンタム投資、いつまで「投資家の味方」かPhoto:Spencer Platt/gettyimages

 一部の投資戦略が長期的に好成績を収める理由を理解するのは難しくない。だが、その代表格であるモメンタム投資には理解しにくい面がある。単純すぎるからだ。

「バリュー(割安)」といった投資ファクターが機能するのは、安く買って高く売るのが理にかなっていることにある。クオリティー投資は、経営が優れた企業は危機を乗り越えやすく収益性が高い傾向にある、ということが前提にある。高配当株は、投資家が少なくとも現金を得られることや、投資尺度の面で妥当であることが多いために人気を集めやすい。

 モメンタム投資は、思慮深い長期投資家にとって理にかなっているとは言いにくい面がある。無謀にも映る。この戦略は基本的に、足元で上昇しているものをさらに買うというものだ。成功する投資戦略の多くは分析力と規律の両方を必要とする。群衆に追随することは昔から人間の本性であり、バブルの特徴でもある。

 ただ、長期的な結果を見ると、異論を唱えるのは難しい。S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスのモメンタム指数に基づくと、1994年夏に投資した1000ドル(現在のレートで約15万円)は昨年夏には2万8500ドルに増えたことになる。これはS&P500種指数に投資したと仮定した場合を71%上回る。さらに、バリュー株や高配当銘柄に投資した場合よりも資産は増えたことになり、しかもボラティリティー(変動率)は相対的に低かった。