ドナルド・トランプ米大統領がここ数週間で激化させた貿易戦争に伴う株価暴落は十分に不安をかき立てるものだった。同時に進行したドル安と米国債利回りの上昇(価格は低下)はまさに不吉な兆候だった。トランプ氏が少なくとも一時的に方針を転換し、9日に一部の関税発動を先送りしたのはその兆候があまりに不吉だったためかもしれない。投資家は今回のように不安が高まると、通常は安全を求める。そして、ドルと米国債ほど安全なものはない。だがリセッション(景気後退)への懸念が強まっているにもかかわらず、通常見られるような安全資産への逃避は起きていない。それにはいくつかの理由があり、インフレリスクなど比較的表面的なものもあれば、もっと根本的なものもある。