「優待を狙う人」に売りつける?“守り”の逆転投資法
大学時代からアニメや声優が好きな“典型的なモテないオタクの理系男子”が、入社した会社でボーナスを貯めた300万円を元手に株式投資をスタート。元手300万円を2年で10倍の3000万円に増やした。その3000万円を1年で5000万円に増やした。結局、しっかりとリスク管理をしながらわずか5年で働きながら資産1億円を突破! その間、月々の給料は日々の生活費やアニメグッズ、声優の推し活に使い、株式投資への資金追加はまったくのゼロ。それでも現在までに、資産3億円超に増やしている。さらに資産を拡大中だ。ズブの素人でも一つずつ階段をのぼりながら、比較的短期間でお金の不安を解消する投資法を初の著書『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』で徹底指南!

【理系男子の株式投資】個人投資家が気づいた“本当に儲かる人”の思考法イラスト:ひらのんさ

株主優待を得るための条件とは?

株主優待を受けるには、それぞれの会社が定めている「権利確定日」に、株主名簿に名前が記載されている必要があります。

そのためには、権利確定日の2営業日前の「権利付最終日」までに株を買っておかなければなりません。これを狙って権利付最終日にかけて、株価が上昇する傾向があるのです。

「株主優待需給投資」とは?

「株主優待需給投資」は、株価上昇のタイミングで売却することで利益を狙う手法です。

外食産業や小売り業、食品・飲料業界の優待券など、個人投資家に人気の高い株主優待がある会社の株価は、「買い」が増える傾向があり、権利付最終日にかけて、株価が大きく上昇するケースもあります。

あくまで株価上昇によるキャピタルゲイン(差益)を狙った投資法なので、株主優待を得る前に株を売却するため、基本的に優待自体をゲットすることを目的としません。

株主優待需給投資の4ステップ

STEP1 個人投資家に人気のある「株主優待」を提供している銘柄をチェック
STEP2「業績は順調か」「その業界全体の業績は好調か」をチェック
STEP3(多くの会社の「権利付最終日」が設定されている3月末を見据えた場合)毎年8~9月にかけて相場が荒れ気味になる傾向があるため、その時期の株価が安いときを見計らって買う
STEP4 2~3月の株価が高まったところで売る

「守りの投資」を意識するようになった理由

新高値ブレイク投資で資産を10倍に増やしたものの、「このまま勝ち続けられるとは思えない」と感じました。資産規模が大きくなってくると、集中投資によるリスクが高まることが懸念材料となったのです。

元手300万円程度であれば、たとえ全額失っても取り戻すことは可能ですが、3000万円となれば、そうはいきません。「このお金を失いたくない」という“守りの思い”が強まったのは自然なことだと思います。

中小型株のリスクと新たな投資戦略の模索

中小型株はボラティリティ(株価変動率)が大きいため、攻めだけでなく守りの投資にシフトする必要があると考えるようになったのです。

他にいい投資法はないだろうか」と調べて見つけたのが、このPART3で解説する「株主優待需給投資」でした。

権利確定日の重要性を理解する

クオカードや金券、ギフト券などを狙った優待ブームが到来し、優待株投資の人気が高まりつつありました。

株主優待を得るには、それぞれの会社が定めた「権利確定日(株主名簿を確定する日)」に、その会社の株を持っている必要があります。

たとえ1年のうち364日にわたってその会社の株を持っていたとしても、権利確定日にその株を保有していなければ、株主優待を得る権利はありません。

なぜ「優待需給投資」が注目されているのか?

株主優待需給投資が注目を集めている背景には、相場の季節性と個人投資家の行動パターンがあります。

特に3月末や9月末など、権利確定日が集中する時期には、多くの個人投資家が優待目的で株を買いに走るため、一時的に需給バランスが崩れ、株価が上昇しやすくなるのです。

この投資法は“需要”の過熱を逆手に取るスタイルだといえます。

短期で完結するからこそのメリット

この投資法の大きな特徴は、比較的短期間で売買が完結する点にあります。

「優待が欲しい人たちが買う前に先回りして仕込んでおき、ピーク時に手放す」という行動は、精神的に楽な投資スタイルでもあります。

もちろん、常に思い通りにいくとは限らないため、銘柄選びやタイミングの見極めが重要です。業績が悪化している企業や、市場全体が大きく崩れている局面では、需給の偏りによる株価上昇は起こりにくくなるからです。

キャピタルゲインを得ながら、経験値も蓄積できる

需給の歪みに着目する投資は、相場観やタイミングを鍛える訓練としても有効です。

株主優待需給投資を通じて、「市場がどんな材料に反応するか」「個人投資家はいつ動くか」という需給の癖やパターンが見えてくるようになるのです。

成功体験を積み重ねることで、「投資はギャンブルではない」「戦略次第で勝てる」という自信が育つのも大きな利点といえるでしょう。

※本稿は『5年で1億貯める株式投資 給料に手をつけず爆速でお金を増やす4つの投資法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。