ドナルド・トランプ米大統領の鉄鋼製品に対する輸入関税は、米国産鋼材の需要を押し上げ、鉄鋼産業を保護する狙いがある。だが今のところ、国内有数の鉄鋼メーカーが工場を閉鎖し、業界の支配的地位を目指す戦略から撤退するのを食い止められていない。米自動車メーカー向け鋼板の供給量でトップのクリーブランド・クリフスは、ここ数カ月、複数の工場や鉄鉱石鉱山の操業を休止している。今夏にはペンシルベニア州とイリノイ州の特殊鋼工場3カ所を閉鎖する予定だ。事業拡大計画を棚上げしているほか、8日に経営陣は資産を一部売却する可能性があると述べた。同社の事業後退で、鉄鋼市場の厳しさが増していることが注目される。自動車産業がけん引する米製造業セクターはこの1年間低迷し、買い手が鉄鋼の購入を控える中、価格は押し下げられた。2024年の米鉄鋼各社の業績は約10年ぶりの水準に悪化した。