「口を開けば会社の愚痴ばかり」「なぜか毎年人が辞めていく」「職場での雑談がない」
具体的な問題があるわけではないけれどなぜか居心地が悪く、モヤモヤする職場になっていないだろうか。そんな悩みにおすすめなのが、組織開発というアプローチだ。『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』(中村和彦監修・解説、早瀬信、高橋妙子、瀬山暁夫著)では、職場のモヤモヤに効く組織開発のはじめ方を成功事例とともに紹介している。本記事では、職場にありがちな悩みについて、組織開発の専門家がお答えする。(取材・文 間杉俊彦、企画 ダイヤモンド社書籍編集局)

「女だから管理職になれたんでしょ?」→女性管理職が直面する苦悩の解決策を職場改善のプロが解説Photo: Adobe Stock

Q:女性だから管理職になれたんでしょう、という視線がつらい

 管理職に昇進しましたが、「女性だから管理職になれたんでしょう」などという声が聞こえてきて気分が悪いです。仕事に対する意欲はあります。ただ、腹がたつのです。「頑張って悪いかよ!」と言いたい気持ちもあります。

A:あなたが管理職になったのは「実力」があるからです

 女性管理職の登用を企業が推し進める風潮の中、頻繁に耳にする悩みですね。

 とある企業では、幹部から「あなたは女性だから今回課長にします」と言われて、本人がやる気をなくしたという話も聞きました。こんなことを言われたら、確かに腹がたつのも当然です。

 ここまで直接的に言われなくても、「女性だから昇進できたんじゃない?」「下駄を履かせてもらったんじゃない?」と、誰かに言われたりすることもあるかもしれません。

 また、実際には言われなくても、「周りからそのように見られてるかもしれない」と不安に思うこともあるかもしれません。

 しかしそれは、あなたの責任なのでしょうか。たまたま社会的な風潮や環境条件が整った結果にすぎないはずです。だから、気にする必要はないという前提からスタートしましょう。

 むしろ、これまでの女性たちは鉄の下駄を履かされていたから上がれなかった、という見方もあるかもしれません。

「私には実力がない」は本当か?

インポスター現象」という心理現象をご存じでしょうか。

 周囲が実力を認めているにもかかわらず、本人は「自分には実力がない」と思い込んで必要以上に悩んでしまうという現象です。

 悩みを抱える女性管理職の中には、実際には実績があるにもかかわらず、それを信じられずに不安を抱え込んでいる方も多いのではないでしょうか。

 ですが、課長クラスになる女性管理職には何かしらの実力があります。

 多くが30~40代で、人によっては結婚していて、夫も働いていて、子どもがいるような方も多いのではないかと思います。

 夫に転勤があれば転居せざるを得ない場合もあり、キャリアが中断してしまうこともあるかもしれません。子育てや家事もして、そのうえで仕事をする。これは大変なことです。

 でも、管理職になった女性は、仕事も家庭も大切にしたいと思っているから頑張っている。それは、実力がないとこなせないことです。

 本当は「頑張らなくても誰もが管理職ができる社会」を作っていかなくてはならないのですが、今は社会が追い付いていないだけなのです。

楽しくなければ意味はない

 そもそも、最初からリーダーの器を持っている人はいません。そんなに重く考えなくてよいと思います。

 たとえ下駄を履かされていたとしても、管理職に任命された時点で、その人には何らかの可能性が認められているものです。

 仮に現状はできていなくても、将来的な可能性を認められている

 だからこそ、希望の地位を得たのなら、「ラッキー」と思って人生を組み立てていってほしいと思います。

 自分がどうしたいかを考えて、管理職として楽しい人生を歩んでほしい。楽しくなければ意味がないのです。

企業=男性が作ってきた社会」の中で管理職になるのは、やはり大変なこと。

 トップを走れる女性は、強い人たちです。機会(チャンス)があって、ロールモデルが生まれれば、それを追える人も増えていくのではないでしょうか。

(本記事は、『いちばんやさしい「組織開発」のはじめ方』の著者によるオリジナルコンテンツです)